【北京時事】中国の王毅共産党政治局員兼外相は8日、北京で開催中の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に合わせて記者会見した。トランプ米大統領の訪中を今月末に控え、対米関係の安定と米中協力を重視する姿勢を強調。日中関係については、高市早苗首相による台湾有事に関する発言を改めて批判した。

 米中は習近平国家主席の年内訪米を調整しているほか、11月には中国がアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の議長国を務める。トランプ氏と習氏は今年、複数回の対面会談をこなす可能性があり、王氏は「対米関係が健全かつ安定的、持続可能な発展に向かう年になる」と期待感を示した。トランプ政権を念頭に「あらゆる一方的行動やいじめに反対する」と述べたものの、名指しは避け、米側への配慮をにじませた。

 また、王氏は米中関係における「不必要な妨害」を取り除くべきだと指摘。米イスラエルが攻撃に踏み切ったイラン情勢でも、米国を強く非難せず、関係各国に「軍事行動の即時停止」を促す従来の立場を繰り返した。米メディアの記者がイランや台湾問題が米中関係に及ぼす影響について尋ねたが、王氏は直接的な回答を避けた。

 米中関係は、両国首脳が昨秋、追加関税の引き下げなどで一致して以来、「なぎ」の状態だ。次回の首脳会談では「貿易休戦」の延長に関して協議するとみられる。米国との長期対立を見据える習政権は、短期的には関係を安定させ、国力増強を進めたい考えだ。

 一方、日中関係を巡り、王氏は前向きな見通しを示さなかった。対日関係の行方は「日本の選択にかかっている」と主張。「日本の現職指導者」が誤った発言をしたとの認識を重ねて示し、「日本が台湾問題に手を出す資格はない」と畳み掛けた。さらに「台湾の祖国への統一という歴史の流れに逆らう者は破滅する」と、台湾の頼清徳政権を威嚇した。 

 「米国第一」を掲げ、国際社会の不信を招いているトランプ政権の動向を踏まえ、王氏は、国際秩序や多国間主義の重要性を強調。新興・途上国や欧州との関係を強めていく考えを表明した。(了)

(ニュース提供元:時事通信社)