日本記者クラブで会見する鈴木氏

 緊迫するアメリカとイランとの軍事紛争について、東京大学公共政策大学院教授で地経学研究所所長の鈴木一人氏が2日、東京都内で会見し、「アメリカは今、どこでどういう形で撤退すべきなのかがはっきりしないまま、紛争を続けている」と指摘。「どこの着地点を求めていいのかわからない状況を今、経験している」との現状認識を示した。トランプ大統領がこの日、国民向けに行った演説内容を受けて、見解を述べた。

 会見は、「イスラエル・米の対イラン攻撃 背景と影響」と題して日本記者クラブ(東京都千代田区)で行われた。

 トランプ氏は演説で「イランを壊滅状態にもっていく。革新的な戦略目標はほとんど達成した」「今後、2、3週間、きわめて激しい攻撃をする」などと発言した。

 鈴木氏は、この演説について解説。ここ数日の発言と基本的な流れは違わないとしながらも、「撤退表明でないことが一つのミソだ」と指摘し、大きく違う点として「激しい攻撃をすると表現し、いつ終わるかを説明しなかった」ことを挙げた。

 また、アメリカのこの「煮え切らない」(鈴木氏)態度には、イスラエルとの関係が背景にあるとした。

会場で鈴木氏は、スライドを投影しながら会見した

 会見で鈴木氏は、1948年のイスラエル建国後に起きたアラブ諸国、イランなどとの対立の歴史を振り返った。昨年6月の「12日間戦争」では、アメリカは参戦しながらも、「戦争を終わらせる役割を果たした」と分析した。一方で、今回の紛争では、「戦争の止め方が分からない状況が生み出されている。どこで止めていいかアメリカ自身も分からなくなっている。そのため、トランプ氏の発言が二転三転している状態だ」との見方を示した。

 トランプ氏の「2、3週間、きわめて激しい攻撃をする」との演説に関連して、鈴木氏は「地上戦も選択肢にあると思う」としたが、現在、取りざたされている、イランの原油輸出要衝カーグ島の掌握となれば、米軍側も相当な犠牲を払う必要があり、「地上戦をやりたくないのがトランプ氏の本音だ」と述べた。

 一方で、紛争終結のカギを握るのはイスラエルだと指摘した。「イスラエルが戦争をやめない限り、何も終わらない」とし、「最後の最後で、イスラエルがイランを攻撃しないという何らかのギャランティーを設定しなくてはならない。そこにはアメリカの力が必要になる」と強調した。