無自覚な交渉術がリスクの種を生む
第66回:経営リスクを最小化する交渉力(2)
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
2024/06/29
再考・日本の危機管理-いま何が課題か
多田 芳昭
一部上場企業でセキュリティー事業に従事、システム開発子会社代表、データ運用工場長職、セキュリティー管理本部長職、関連製造系調達部門長職を歴任し、2020年にLogINラボを設立しコンサル事業活動中。領域はDX、セキュリティー管理、個人情報管理、危機管理、バックオフィス運用管理、資材・設備調達改革、人材育成など広範囲。バイアスを排除した情報分析、戦略策定支援、人材開発支援が強み。
前回、さまざまなリスクに対峙するために、いわゆる交渉力の必要性を、少々強引ではあったかもしれないが、訴えた。そしてこの交渉力を支える交渉術なるものに「ハーバード流交渉術」「ケンカ交渉術」が存在し、同じ「交渉術」と銘打ちながら根本的に異なることを提示した。
前者はリスクを低減する方向に向かい、後者はリスクを増大させる方向に向かう傾向があり、この似て非なるものを明確に認識する必要がある。だが、社会一般にこのことが意識されず、混在して、紛らわしいものになっているのが現実である。今回は、この二つの「交渉術」の違いと、その結果もたらす事象を分析していきたい。
両者の違いを端的に示すなら、ハーバード流交渉術は「Win-Win」を目指すものであり、ケンカ交渉術は「勝ち取る」を目的とすることである。実は、この違いは大きい、というより真逆といってよい。
「勝ち取る」とは1人称での認識であり、その裏に「負ける」存在があることは無視できない。短期的に折り合いがついて納得のうえだとしても、負け側ははっきりと負けを認識し、勝ち側に対して譲歩し勝たせたことを自覚するだろう。これはある意味で主従関係に近い格差ともいえる状態を生み出す。
主従関係そのものが悪いわけではなく、良好な関係もあるだろう。ただ、はっきりいえるのは、決してイコールパートナーではないという現実である。
社会の関係式で、すべてがイコールパートナーになることはあり得ない。資本関係やグループ経営において、関係は決してイコールではない。とはいえ、これらの関係式でも、全体最適思考が働けば向かう方向は「Win-Win」であろう。それが得てして、部分最適にはまり込んでしまうのではないだろうか。
部分最適にはまり込むといえば、多くの方にその問題性をご理解いただけると思う。それでは、最適な状態を持続的に維持できるはずがないのである。ケンカ交渉術は一人勝ちであればあるほどよいという思考のもとで勝ちにこだわる結果、部分最適が進展するのだ。
しかしながら、目指すべき「Win-Win」の構造はいうほど簡単ではない。
再考・日本の危機管理-いま何が課題かの他の記事
おすすめ記事
火事・水害の被災設備に復旧という選択肢
災害復旧専門サービスのベルフォアジャパンは昨年、独自営業による顧客開拓に乗り出しました。これまでは共同出資者の東京海上日動火災保険を窓口としてきましたが、体制変更を機に直接の市場アプローチを開始。BCPの実効性を確保する手段として自社のサービスを訴求する考えです。代表取締役社長の加藤道久氏に今後の市場戦略を聞きました。
2026/03/18
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/03/17
余計な情報をつながない安否確認システム
安否確認システム「オクレンジャー」は2006 年に提供を開始したサービス。災害時の初動に欠かせないアプリとして広く認知され、累計ユーザー数260 万を突破した。開発元のパスカルは地域のSIerとして、防災分野以外でもビジネスの高度化に貢献する。社長の井上隆氏に、創業以来の事業コンセプトと今後の展望を聞いた。
2026/03/11
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/03/05
ネット風評被害を叩き企業の信頼を守る
ネット社会の「カイシャの病院」として企業の風評被害を治療・予防するソルナは昨年7月、代表交代をともなう事業承継を行いました。創業者の三澤和則氏が代表取締役を退任し、新たに安宅祐樹氏が就任。これまでのサービス価値をさらに高め、企業の信頼の基盤を保全していく構えです。新社長の安宅氏に事業承継の経緯と今後の展望を聞きました。
2026/03/02
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方