2026/04/10
防災・危機管理ニュース
昨年度クマの人身被害者数が全国最多だった秋田県で、クマの出没状況が高齢者の心身にどう影響するかを調べる実態調査が始まる。外出控えによる心身不調はコロナ禍でみられており、調査を主導する秋田大高齢者医療先端研究センター長の大田秀隆教授(老年医学)は「調査結果は他県の役にも立つのではないか」と期待を示す。
秋田県では2025年度、クマによる人身被害が死者4人を含め67人に上った。市街地への出没も相次いだ。
大田教授らは同年度から、認知機能検査などを通じ、高齢者の認知症予防を支援する事業を行っている。この中で、クマの出没が増えた昨年秋ごろから、参加者の約1割が「病院に行くのが難しくなった」「運動や散歩ができなくなった」などと話していたことが分かった。
このため26年度は、クマ出没に伴う外出の回数や体力、精神状態の変化などを聞くアンケート調査を新たに実施する。出没が生活に影響しているかを尋ねる項目には「かなり影響」「少し影響」「ほとんど影響なし」の3パターンを設定。回答した人の健康データや居住地域の出没状況をパターンごとに比較し、心身の状況を調べる。
大田教授らがコロナ禍に実施した調査では、緊急事態宣言の発令後に「外出が減少した」と回答した人が27%に上り、うつ傾向も強まったことが明らかになった。大田教授は「外出制限がかかっている点で、クマの状況と似通っている」と指摘する。
また、認知機能検査では、昨年12月末時点で参加者の約4割に認知機能に軽い障害が見られた。大田教授は、高齢者がクマ出没を警戒し外出を控えることで、より重い認知症などになるリスクが高まることに懸念を示す。
大田教授は「外出できない状況は、水害や地震といった災害でも起きるかもしれない。調査結果を基に(心身不調の予防策で)新しい視点を提供したい」と話した。
〔写真説明〕クマ出没が高齢者の心身に及ぼす影響の実態調査について説明する秋田大高齢者医療先端研究センター長の大田秀隆教授=6日、秋田市
(ニュース提供元:時事通信社)

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