危機管理のスタートアップであるASTENO(東京都渋谷区、阿部健二社長)は、次世代型危機管理プラットフォーム「ASTENO」のサービス開始を2026年9月に控え、開発を加速させている。同社は「テクノロジーの力で、意思決定の遅れが生む『組織の空白』をゼロにする」をビジョンに掲げる。このプラットフォームでは、被災後の回復力(レジリエンス)向上を支援する機能を実装。組織の動きをシステムで自律させ、危機対応を止めない仕組みの普及を目指す。 

 

9月公開、その後1年間隔で機能を追加実装

ASTENOは、平時と有事を接続したシステムを提供する。開発はPhase 1~3の段階にわけて進め、1年間隔で実装していく計画だ。9月時点では、サービス基盤となる機能を備えて提供する。平時からの社内ツールとしての活用を促すことで、有事にも即座に使えるように。かつOSの更新漏れを無くす目的がある。27年度中には、同社が特許出願中の機能を追加実装。28年度中には、官民連携して使えるシステム実装を目指す。

ASTENOの開発スケジュールと実装予定の機能

 

 

BCPを「読むマニュアル」から「動くナビゲーション」へ

サービス公開時点の主要な機能に、安否確認機能がある。安否確認は従業員本人だけでなく、その家族も同アプリ内で確認できる仕様。同システム内で情報を集約・完結させることで、アラート発令時の心理的負担を軽減する目的。阿部健二社長は「ビジネス・プライベートを分け隔てることなく利用してもらい、災害時の不安を解消したい」と話す。また、BCPのマニュアルはデジタル上に保管し常時閲覧可能に。AI要約記録機能付きの音声通話や、時系列(クロノロジー)記録機能も搭載する。

特徴的なシステムとして、出張などで土地勘のない場所にいる従業員を最寄りの避難所へ導く「避難所マップ&ナビ機能」がある。GPS情報や、位置情報から入退出を感知するための仮想的な境界線(ジオフェンス)に基づき、場所を特定しナビゲートする。また、こうした機能を視覚化したダッシュボードにより、迅速な初動対応をサポートする。

 

属人化した危機管理からの脱却

Phase 2では、同社が最も重視する「動的役割任命(動的ロースタリング)」機能を実装する。状況に応じて最適な人員配置を適宜アップデートする仕組みだ。災害発生時、管理者や担当者が被災して、指揮命令が止まる可能性が見込まれる。阿部健二社長は「指揮命令や情報共有が滞る、デッドロックの状態に陥ることを想定する必要がある。そうした状況下では、初動対応が止まる。時間も惜しまれる中、空白の時間が生まれてしまう」と指摘する。

ASTENOは、本来の管理者が応答不能な場合、システムが自動的に代行者にタスク権限を引き継ぐ仕様だ(アルゴリズムの特許出願中)。任命された担当者には、その役割に応じた具体的な行動指示(タスクナビゲーション)が配信され、専門知識がなくても迷わず初動対応を遂行できる。

事前に役割を決めて行う、一般的な体験型訓練のあり方にもメスを入れる。同システムを用いることで、事前に取り決めた役割に依存しない、誰もが速やかに責任者や担当者として活動する実践型訓練を実現する。

 

社会全体を強靭化する「共助」のプラットフォームへ

Phase 3では、官民がリアルタイムで被害状況や拠点の稼働スペックなど共有する仕組みを構築する。

例えば、リアルタイムで安全が担保されている企業の拠点を、動的避難所として自治体に提供する。また、導入企業間で物資の「Needs(求めているもの)」と「Seeds(提供できるもの)」をマッチングするなど、共助のプラットフォームとしての活用も見込む。

サービス開始の2026年9月を目前に控え阿部社長は「導入組織が増えるほど、救助のトリアージや資源配分の精度が高まり、地域全体のレジリエンスが向上する世界観を目指す」と意気込む。

 

 

プレスリリース

 

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リスク対策.com 編集部