2026/04/26
防災・危機管理ニュース
ウクライナ北部のチョルノービリ(チェルノブイリ)原発で史上最悪とされる事故が起きてから26日で40年となる。廃炉作業中の原発は2022年に侵攻したロシア軍によって一時占拠され、その後もドローン攻撃を受けた。戦時下、原子力災害の危険性が高まっている。
◇4年捕虜の要員も
チョルノービリ原発4号機はソ連時代の1986年4月26日、試験運転中に炉心溶融と爆発に見舞われた。事故処理後、コンクリートの「石棺」で囲われたが、石棺の老朽化で汚染が広がる恐れがあり、2016年に金属製の巨大シェルターで覆われた。シェルター内部で安全に石棺を解体する計画だ。
しかし、22年2月に原発を含む北部キーウ州にロシア軍が侵入。約1カ月間にわたり原発を占拠し、軍用車両によって放射性物質を含むとされる土壌が荒らされた。戦火によって原発が危機的状況に陥る事態を世界は目の当たりにした。
原発を警備していたウクライナ治安要員のうち約170人が捕虜となった。ロシア側との捕虜交換のペースは遅く、今月11日にウクライナに帰還した捕虜の中には、4年以上拘束された要員が含まれていた。
◇石棺崩壊の恐れ
22年3月にロシア軍が原発から撤退。安堵(あんど)が広がったのもつかの間、今度は上空にドローンが飛来するようになった。昨年2月、シェルターに衝突して屋根が損傷。シェルターには消火作業のために開けられた多数の穴が残る。
シェルター事業を推進した欧州復興開発銀行(EBRD)などによると、修理には数年かかり、費用は5億ユーロ(約930億円)。建設を支援した日本も負担する可能性がありそうだ。
放射能漏れが続く状態では計画通りに石棺を解体できず、再び攻撃を受ければ弱い地震のような「揺れ」も起きる。環境保護団体グリーンピースは報告書で「ロシアは石棺崩壊のリスクを高めた」と非難した。
ウクライナのクラウチェンコ検事総長は今月22日のロイター通信のインタビューで、ロシアの侵攻開始後、極超音速ミサイル「キンジャル」35発がチョルノービリを含む二つの原発付近を通過したと指摘。「威嚇と恐怖を与える狙いがあるのは明らかだ」と訴えた。
◇「最初の犠牲者」妻の死
昨年11月に首都キーウで、原発事故によって夫を失ったことで知られていた73歳の女性ナタリア・ホデムチュクさんがロシア軍の空襲で命を落とした。原発作業員だった夫ワレリーさん=当時(35)=は、事故発生直後の4号機に入って行方不明となり、遺体は今も収容されていない。「最初の犠牲者」と呼ばれ、原発内に慰霊碑がある。
ナタリアさんは「原発城下町」プリピャチから作業員が移住させられたキーウ北東部デスニャンスキー地区で暮らしていた。自宅にドローンが直撃して体の半分に及ぶ大やけどを負い、翌日に息を引き取った。地区当局はSNSで死を悼むとともに「ナタリアさんは祖国の歴史上最も悲劇的な出来事を目の当たりにしながら生きてきた」と苦難の生涯を思いやった。
〔写真説明〕シェルターに覆われたチョルノービリ(チェルノブイリ)原発4号機=23日、ウクライナ北部チョルノービリ(EPA時事)
〔写真説明〕チョルノービリ(チェルノブイリ)原発に設置されているワレリー・ホデムチュクさんの慰霊碑=9日、ウクライナ北部チョルノービリ(AFP時事)
(ニュース提供元:時事通信社)


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