企業には、適切な熱中症対策が求められている(写真:Adobe stock)

 厚生労働省では、7月1日から7日までを「全国安全週間」としており、そして6月1日から30日までがその準備期間として位置づけられています。その期間中に各職場では巡視やスローガンの掲示、また労働安全に関する講習会など、さまざまな取り組みが実施されます。

 厚生労働省の統計によれば、近年の労働災害は、死亡災害が減少傾向にあるものの、休業4日以上の死傷災害では2009年以降、増加傾向が続いています。特に、高齢者を中心に転倒や腰痛といった、労働者の作業行動に起因する死傷災害が増加し、また墜落・転落などによる死亡災害が依然として後を絶たない状況にあります。

 これらの労働災害は、建設業や製造業に限らず起こっていますので、どの業種であっても「自分には関係ない」とは言えません。とりわけ、法律で義務付けされた企業の熱中症対策には、注意が必要です。

 今回は、全国安全週間に向けて、職場の安全衛生を考えます。

1.職場で取り組むべき安全衛生の基本

 転倒や腰痛などは、労働災害のなかでも大きな割合を占めており、一見すると重大とは思われないものでも、実際には長期休業につながる場合も多く、個人にとっても、企業にとっても大きな損失となり得ます。

(1)転倒災害を防ぐ

1)オフィスや工場の床面環境の整備

 濡れた床をそのままにしないことが大切です。特に、梅雨の季節は、雨で濡れた靴底や傘の水滴で床が濡れ、滑りやすくなりますので放置しないことが重要です。

 小さな段差や傾斜でも転倒の原因になりますので、黄色のテープなどで注意の表示を行います。

 マットやカーペットはめくれが生じていると、足が引っかかり事故につながりますので、放置しないことが求められます。

 また、ケーブル類やコードなどが乱雑に置かれている職場は、まとめて固定するなど歩行の邪魔にならないようにすることが大切です。あわせて、段ボールや私物などが一時的であったとしても通路にあると、転倒リスクが上昇しますから危険です。

2)服装や靴も見直す

 製造業や介護の現場では、滑りにくい靴を着用することも必須です。また、ほどけた靴紐や、裾が長いパンツも転倒の原因になりますので、注意しましょう。

3)動作や身のこなしにも要注意

 会議に遅れそうな時にあわてて走る、またスマホを見ながら歩くなどの行動が転倒の原因となりますので、落ち着いて行動することも大切です。

労働現場では頻発化する腰痛(写真:Adobe stock)

(2)腰痛を防ぐ

 腰痛は、労働災害において最も頻繁に起こるものですが、製造現場だけではなくオフィスでも起こり、慢性化すると長期休暇にもなり得ます。

1)机に座ったときの姿勢を整える

 椅子の高さを調節することで、靴の底、つまり足裏が床につく姿勢にします。足が浮いていると、腰の負担が大きくなるからです。

 また、パソコンのモニター画面が低すぎると前傾姿勢で首や腰に負担がかかりますから、モニターの高さを目線と同じにします。

 あわせて、長時間同じ姿勢をとることは腰痛の最大の原因となりますから、一時間に一回は立ち上がって、動くようにします。

2)重いものを持つときは、特に注意する

 「持てるから大丈夫」という考え方は事故ものとになります。重いものは、一人で持たず複数人で対応する、あるいは、台車を使うなどの工夫をします。

 また、重いものを持ち上げる際、呼吸を整えてから腹筋に力をいれるなど、腰への負担を軽減するなどの工夫をします。

3)作業環境の改善

 高すぎる、あるいは低すぎる台は、作業する人に不自然な姿勢を強いることになりますから、作業台の高さを適切なものにしましょう。

 作業中、無理にひねる動作が腰痛を誘発しますから、よく使うものは、手の届く範囲に配置します。