夏場は、パワーハラスメントを起こしてしまうリスクが高まるという(写真:Adobe stock)

 気がつけば今年も半分が過ぎ、一年の後半戦がスタートしました。ただ、この季節は、暑さのせいでよく眠れなかったり、夏バテで業務に集中できなかったりすることが起こります。あらゆる意味で、気持ちが緩みがちな季節ですから、気の緩みを正し気持ちを引き締める観点から、今回は夏季のコンプライアンス強化を考えます。

1.ハラスメントの防止措置は、企業の法的義務

(1)職場内部でのハラスメント

 ハラスメントの防止措置は、企業に法的義務が課されているにも関わらずハラスメント事例は後を絶ちません。

 夏場にパワーハラスメントリスク(注1)が高まるのには、理由があります。酷暑による疲労や体調不良で、イライラを感じてしまいがちです。また、サービス業や小売業では、夏季の繁忙期が続く中、お盆前後にはさらにスタッフ不足が重なってしまい、部下にあたってしまうなどのことも考えられます。

酷暑によるイライラが、ハラスメントを引き起こすきっかけになりうる(写真:Adobe stock)

 パワーハラスメントは、対面だけに限ったことではありません。オンライン会議で集中力が落ちると、思わず言葉が荒くなり、きつい言い方になりますので注意が必要です。

 セクシャルハラスメント(注2)についても、この季節は暑気払いや花火大会などの行事が増えることもあり、酒席で「軽口」や「冗談」のつもりが度を越してセクシャルハラスメントになってしまうこともあり得ます。

 また、夏はクールビズということもあり、露出が増え、無自覚な発言がトラブルに発展することもありますから服装に関するコメントは慎重にしなければなりません。

 ハラスメントは、人との信頼関係を一瞬で壊すものです。「気の緩み」では、決してすまされない行為です。いつも以上に丁寧なコミュニケーションを心がけましょう。

(注1)パワーハラスメント

パワーハラスメント防止措置は、労働施策総合推進法の改正により、2020年6月1日(中小企業は2022年4月1日)から義務化されています。

(注2)セクシャルハラスメント

セクシャルハラスメント防止措置は、「男女雇用機会均等法」により、1986年4月1日から法的義務として施行されています。

 

(2)ハラスメントに関する新たなリスク

 ハラスメントに関する新たなリスクとして、求職者に対するセクシャルハラスメント対策が、2026年10月1日から義務化されていることも押さえておきましょう。

 これは社員の「性的な言動」により求職者等による求職活動等(注3)が阻害されるものを指します。

なお、求職活動には、OB・OG訪問や、インターンシップへの参加など、人事部門以外の社員も関係しますから、注意が必要です。

(注3)求職活動等

求職者が行う求職活動や求職者に類するものが行う職業の選択に資する活動を指し、例えば以下のものが含まれます。また、SNS等のオンラインを介したものやオンライン上で行われるものも含まれます。
(例)企業の採用面接への参加、企業の就職説明会への参加、企業の雇用する労働者への訪問、インターンシップへの参加、教育実習、看護実習等の実習の受講