北海道胆振東部地震での活動の様子(国交省提供)

大規模災害時に被災自治体などの要請に応じて、民間人材を被災地支援に派遣する「TEC-FORCE(テックフォース)予備隊員」制度が創設されて2年目を迎えた。国交省は、専門知識を持つ民間企業などの人材を対象として、今年6月から初めてとなる全国一括公募に乗り出し、稼働を本格化させる。発災時には、現役の国交省職員による「テックフォース」隊員らに混じって、被災地での情報収集や、河川や道路、港湾といった自治体管理のインフラの被害状況調査などに携わる。立場は、非常勤の国家公務員だ。募集を担当する同省水管理・国土保全局防災課課長補佐の星野龍一郎氏に、活動の意義などについて聞いた。

 

広域災害などへの対応見据え

――初めて全国での一括公募となります。一定の歴史や活動実績があるテックフォースを強化する背景には、どんな理由があるのですか。

テックフォース(緊急災害対策派遣隊)は2008年に発足し、平時には道路や河川管理などの業務に従事する国交省職員が登録、指名されています。

多くは全国の各地方整備局の河川事務所や国道事務所などに勤務しています。現在、指名されている約1万8000人のうち、8割程度を地方整備局などの職員が占めます。平時の業務で培った能力が被災地で生かせることが多くあります。

地震や台風、降雪、火山活動などの災害時に、被災した都道府県や市町村から要請があれば派遣し、一定期間、滞在して支援を続けます。次に派遣された別のチームと交代していきながら、被災自治体を長期にわたって支えていく流れです。

すでに一定の歴史があり、様々な経験を積み重ねてきました。2011年の東日本大震災、2018年の西日本豪雨などに派遣し、効果を発揮しました。2016年の熊本地震では、私自身もテックフォースの一員として派遣され、1週間ほど、被害調査などに携わりました。やはり写真とは違う、現地の被害の実態を目の当たりにできた貴重な経験でした。

2025年度末時点で、創設から約180の災害に派遣され、その活動人員はのべ約17万5000人以上に達しました。支援ニーズも高まり、活動規模は大きくなる傾向です。

ただ、2024年に起きた能登半島地震では、三方を海に囲まれた半島で山がちな地形などの制約から、被災地への進入経路が限られる中、大規模な土砂崩落で多くの道路が被災するなどして、活動が困難を極めた問題が教訓として挙げられます。

こうした教訓などを踏まえて、2024年6月に改正災害対策基本法が施行され、被災自治体への応援体制の強化を目指すことになりました。

また、気候変動により災害が激甚化、頻発化していることに加え、高い発生確率が見込まれている南海トラフ地震では、複数の多くの地域が同時に被災することも想定されています。それらに対応するためには、多くの支援人員の派遣や体制の強化が必要になることも予想されます。

そこで、テックフォースを増強し、行政、民間企業、学識者らの専門性を持った多様な主体と連携を強化して、新たな応援体制を構築することになり、その一環で予備隊員制度の創設に至りました。

災害本部での業務も

――応援体制を増強するための中核的な施策が、予備隊員の新設だったのですね。どのようにして人員を確保していく考えですか。

国交省で取材に応じる星野氏

創設から間もなかった2025年度は、それぞれの地方整備局や地方運輸局、地方航空局などで2025年7月から12月にかけて順次、募集を始めました。

2026年4月現在で、全国計342人が登録していますが、募集期間がまちまちだった状況があり、登録期間は1年ほどですが、地方整備局や航空局で、任期も異なってしまっています。

今回は、全国の10の地方整備局(北海道開発局などを含む)と、10の地方運輸局(内閣府沖縄総合事務局などを含む)、さらに東京と大阪の航空局で、6月から一斉に人材募集を始めました。

2027年度以降も、年1回の一括募集を継続していく方針で、制度を根付かせていきます。