2017/07/28
防災・危機管理ニュース

国土交通省は27日、「高規格堤防の効率的な整備に関する検討会」の第3回会合を開催。報告書のとりまとめを行った。「スーパー堤防」と呼ばれる高規格堤防の整備促進へ、共同事業者であるデベロッパーなどが堤防整備で生まれる土地を生かした街づくりを行いやすいよう、インセンティブ付与や事業化へのスピードアップ支援などを行うべきだとした。
高規格堤防は土でできた緩やかな勾配のある堤防。幅が広く、防災以外に堤防の上を利用した街づくりを行える。しかし共同事業者にとってメリットが少なく、河川管理者である国との協定締結など事業化、さらには構造物撤去や盛り土、地盤改良など整備にも時間がかかるといった課題がある。
2010年の民主党政権下での事業仕分けによりいったん廃止が決定。その後に検討会が開かれ、従来計画の約873㎞を、荒川、江戸川、多摩川、淀川、大和川のゼロメートル地帯を中心とした緊急性のある約120㎞に縮小し整備を進めることとなった。3月末時点での整備状況は整備区間の約12%の約14kmで、高規格堤防の基本的な断面形状が確保されているのは約2.8%の約3.3kmにとどまっている。
報告書では共同事業者に対し税制や融資での支援を検討すべきだとした。また手続きの改善として、高規格堤防整備の予定区域を明示し、共同事業者を公募する仕組みが必要と指摘。コスト縮減や工期短縮へ向け、盛り土や地盤改良と建築物や基礎の一体施工、さらなる新技術作りに取り組む。コスト縮減が実現した新技術の活用実績を事例集として作成し、ほかの地区へ広めることも行うべきとしている。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年3月28日配信アーカイブ】
【3月28日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:内閣府事業継続ガイドラインの改定/ヘルメット努力義務化
2023/03/28
-
-
-
-
組織の垣根を越えるリスクマネジメント活動
住宅建材・設備機器メーカー大手の株式会社LIXILHOUSING TECHNOLOGYは「体系化」「情報」「活動」の3軸をベースにリスクマネジメントを展開。重点活動の一つが、自然災害リスクに対する対応力向上活動です。災害による被害の最小化は住宅建材設備を供給する者の責任と位置付ける同社の取り組みを紹介します。
2023/03/19
-
コカ・コーラにおけるリスクマネジメントERMとリスク対応計画の枠組み
ザ コカ・コーラ カンパニーは、ビジネスにおいて何らかのリスクが発生し悪影響を及ぼす可能性があることを認識し、それらに対処するプロセスを展開しています。日本においても、日本コカ・コーラをはじめ全国のコカ・コーラボトラーズ各社と連携を図っています。包括的企業リスク管理(ERM)プログラムによって、ビジネスに破壊的な影響を及ぼすリスクの軽減戦略を実行すると同時に、ビジネスの機会を積極的に模索しスマートにリスクをとることを可能にしています。取り組みの内容を日本コカ・コーラ株式会社 広報・渉外&サステナビリティ推進部 リスクマネジメント&クライシスレゾリューション シニアマネジャーの清水 義之さんにご発表いただきました。2023年3月14日開催。
2023/03/16
-
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方