6月の上陸台風――6月の気象災害――
6月の台風進路に潜む3つのパターン
永澤 義嗣
1952年札幌市生まれ。1975年気象大学校卒業。網走地方気象台を皮切りに、札幌管区気象台、気象庁予報部、気象研究所などで勤務。気象庁予報第一班長、札幌管区気象台予報課長、気象庁防災気象官、気象庁主任予報官、旭川地方気象台長、高松地方気象台長などを歴任。2012年気象庁を定年退職。気象予報士(登録番号第296号)。著書に「気象予報と防災―予報官の道」(中公新書2018年)など多数。
2026/06/24
気象予報の観点から見た防災のポイント
永澤 義嗣
1952年札幌市生まれ。1975年気象大学校卒業。網走地方気象台を皮切りに、札幌管区気象台、気象庁予報部、気象研究所などで勤務。気象庁予報第一班長、札幌管区気象台予報課長、気象庁防災気象官、気象庁主任予報官、旭川地方気象台長、高松地方気象台長などを歴任。2012年気象庁を定年退職。気象予報士(登録番号第296号)。著書に「気象予報と防災―予報官の道」(中公新書2018年)など多数。
今年は、6月3日に台風第6号が和歌山県南部に上陸した。これは、気象庁の台風統計が整っている1951年以降では4番目に早い上陸であり、6月の台風上陸は2012(平成24)年の台風第4号以来、14年振りの出来事となった。上陸時期の早さに関して言えば、過去には4月に上陸した台風(1956年の台風第3号、4月25日上陸)もあるのだから、6月に上陸する台風が現れても驚くにはあたらないが、本格的な台風シーズンまでにはまだ間があるので、「6月になったばかりなのに」というのが、気象防災の専門家にとっても偽らざる印象であろう。本稿では、6月に台風を上陸させる要因を考察する。
気象庁の台風統計によれば、1951年以降の76年間の6月に上陸した台風は、全部で12個である(本稿を執筆している6月23日現在)。平均すれば、6.3年に1個という割合だ。5月と4月に上陸した台風を加えて、6月までに上陸した台風という見方をすると、総個数は15個となり、およそ5年に1度は台風シーズン前に台風が上陸している計算になる。だが、本年6月3日の台風上陸が14年振りであったように、感覚的にはもっと頻度が小さいような印象があるのはなぜか。調べてみると、6月に台風が2個上陸した年が2回(2004年、1997年)あることが分かった。6月までに台風が上陸した年という数え方をすれば、76年のうち13年ということになるが、それでも5.8年に一度の頻度である。台風シーズン前の台風上陸は、決して珍しくないことを肝に銘じるべきかもしれない。
台風の発生数、接近数、上陸数の平年値(表1)によれば、6月までの発生数は4.2個、接近数は1.7個、上陸数は0.2個である。上陸数の平年値が0.2個ということは、5年に1個ということであり、76年間の実績とも整合的である。接近数は1.7個だから、6月までに、接近する台風が1個や2個は現れるのがあたりまえということである。ここで、台風の上陸とは、台風の中心がわが国の四大島(本州・北海道・九州・四国)の海岸線に達し、さらに陸地をおおむね25キロメートル以上進む場合をいう。接近とは、台風の中心が、国内のいずれかの気象官署(特別地域気象観測所=旧測候所を含む)から300キロメートル以内に近づくことをいう。
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