中部電力が浜岡原発(静岡県御前崎市)3、4号機の再稼働に向けた審査で地震動に関するデータを不正に選定していた問題を巡り、審査の申請を取り下げる方向で調整に入ったことが11日、分かった。申請を取り下げれば異例の事態で、再稼働の時期がさらに遠のく。原発維持にかかる費用が膨らむ可能性も高い。
 中部電は原発再稼働に向けた審査を4号機で2014年、3号機で15年に申請した。しかし今年1月、審査で想定する地震の揺れを過小評価していた疑いが発覚。原子力規制庁の調査後に、不正隠しとみられる作業を行っていたことも判明し、審査の継続は難しいと判断したもようだ。
 審査を取り下げれば再稼働への道筋は白紙となり、これまで浜岡原発に投じてきた費用がさらに膨らむことになる。中部電は浜岡原発の運営にかかる費用を「原子力発電費」として計上しており、11年の停止以降15年間の累計額は約1兆5000億円に上る。このほか、福島第1原発事故を踏まえた新規制基準に適合させるため、原発敷地内の安全対策も進めてきた。関連費用は約4000億円と見積もっている。
 中部電は同日、不正問題に関し、外部の弁護士で構成する調査委員会から報告書を受け取ったと発表。14日に林欣吾社長らが名古屋市で記者会見し詳細を公表する。不正の動機や上層部の関与、経営陣の進退が焦点となる。同社は「広く社会の皆さまから強い不信を招いていることについて、改めて心より深くおわびする」としている。
 赤沢亮正経済産業相は11日の閣議後記者会見で、浜岡原発不正の報告書に関して「現時点において内容は承知していない」とした上で、「報告徴収命令に対する中部電からの回答の内容を踏まえて最大限厳格に対応したい」と述べた。 
〔写真説明〕中部電力本店=名古屋市東区

(ニュース提供元:時事通信社)