第27回 EU AI法と急展開するAI規制
コンプライアンスへの対応期限は直ぐにやってくる
鈴木 英夫
慶應義塾大学経済学部卒業。民族系石油会社で、法務部門・ロンドン支店長代行・本社財務課長など(東京・ロンドン)。外資系製薬会社で広報室長・内部監査室長などを務め、危機管理広報・リスクマネジメントを担当(大阪)。現在は、GRC研究所代表・研究主幹、リスクマネジメント&コンプライアンス・コンサルタント(兵庫)。日本経営管理学会会員、危機管理システム研究学会会員。
2026/08/24
新 世界のリスクマネジメントの潮流
鈴木 英夫
慶應義塾大学経済学部卒業。民族系石油会社で、法務部門・ロンドン支店長代行・本社財務課長など(東京・ロンドン)。外資系製薬会社で広報室長・内部監査室長などを務め、危機管理広報・リスクマネジメントを担当(大阪)。現在は、GRC研究所代表・研究主幹、リスクマネジメント&コンプライアンス・コンサルタント(兵庫)。日本経営管理学会会員、危機管理システム研究学会会員。
EU AI法は欧州法であるが、その適用範囲はEUの国境をはるかに超える。米国に拠点を置き、AIシステムを開発・導入、または販売する企業は、たとえ自らを国際企業とは考えていなくても、既にこの法律の適用範囲に含まれることがある。
リスク管理者や企業リーダーにとって、EU AI法は単なる新たなコンプライアンス義務以上の意味を持つ。この法律は、AIシステムを規制対象製品とほぼ同等に扱う新たなガバナンスフレームワークを導入し、(企業などの)組織に対し、リスク評価・使用目的の文書化、監視体制の導入、そしてAIツールが現実世界でどのように運用されているかを把握するための市販後監視システムの構築を義務付けている。また、EU AI法への違反を調査・特定するための市場監視機関も設置されている。
同時に、企業は、ますます細分化が進む米国の州レベルのプライバシー法、分野別規制、そして訴訟リスクといった複雑な状況に対応していかなければならない。その結果、広範な欧州の規制と、より限定的ではあるものの非常に厳格な米国の法執行体制との間に、ガバナンス上のギャップが拡大している。
EU AI法の一部は既に施行されており、特定のAI活動の禁止や新たな透明性要件の適用などが含まれる。「高リスク」AIシステムに関連するその他の義務は、当初2026年8月に施行予定であったが、2027年12月に延期された。企業はこの延期期間を活用し、今すぐ行動を起こすべきだ。
ほとんどの企業は、ガバナンスフレームワークの構築、リスク評価の実施、諸文書の整合性、契約の更新、そして法務、サイバーセキュリティ、エンジニアリング、製品開発チーム全体にわたるコンプライアンスプロセスの運用に12~24ヶ月の準備を要するだろう。顧客向け製品、採用ツール、分析システム、医療アプリケーションなどに既にAIを統合している組織の場合、準備期間はさらに長くなるかもしれない。
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