2018/10/30
防災オヤジーズくま隊長の「知らないとキケンな知識」
早速、操作法を覚えましょう!
消火栓はタイプによって、最低2人の操作が必要なものと、1人のみで操作可能なものの2タイプがあります。それぞれの手順を見ていきましょう。
最も一般的な「1号消火栓」は、バルブ側とホース側に1人ずつ、合計2人での操作が必要です。手順は以下のようになります。

「1号消火栓」の場合、最初に起動ボタンを押さないとポンプが起動しないため、この後の作業をいくら正確にやっても水がまともに出ません。ポンプが起動すると点灯している赤色灯が点滅。火災報知器が連鳴し、防災センターへ通知されます。
放水の際は、ホース側の担当者は筒先(ノズル)を腰に保持し、けっして放水中は筒先を離さないように。離してしまうと筒先が暴れ、体に当たり大けがをします。ホース担当はできれば補助・伝達・後方安全確認のためもう1人いた方が良いです。建物内での初期消火は、外からの放水と違い放水すると煙や炎が壁や天井で跳ね返り、ホース担当者を襲います。
一方、「易操作性1号消火栓」「2号消火栓」「広範囲2号消火栓」の3タイプは、ホース筒先に開閉バルブが付いているので1人でも操作が可能です。以下が大まかな使用手順になります。

筒先(ノズル)とホースを取り出したうえで、開閉バルブを開けます。バルブを開けると自動的にポンプが起動するので、起動ボタンを押し忘れる心配はありません。
火元に近づくほど、煙・炎・熱風などで2次災害のリスクがありますから保護具(防煙マスク、手袋)などは必ず着装しましょう。1人での操作が可能であっても、できれば1人での行動は避け、複数人で対応しましょう。消火後にはバルブを閉めることも忘れずに。
また屋内消火栓の放水で気をつけなくてはいけないのは水損です。消火時は大量の水が出続けるため、火元の下階まで水損し、数百万以上の被害になってしまうことがあります。最近は大量注水を予防するための放水量を調節できる「噴霧注水」ノズルも開発されています。
握り拳ほどの小さな火であれば、まずは、ペットボトルのお茶やコーラでも消えることや可燃物を部屋の外に掃き出すことで叩き消すこと、など代替方法も覚えておくと良いでしょう。
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