防災広場や集会所もあり、帰宅困難者も受け入れる(出典:旭化成不動産レジデンスホームページ)

旭化成不動産レジデンスは21日、東京都品川区の分譲マンション「アトラス品川中延」(総戸数195戸)を今月末に竣工すると発表した。東京都が進める「木密地域不燃化10年プロジェクト」の不燃化特区53地区のうちの1地区内。総戸数と敷地面積約0.6haは、再開発で防災力を高める都内の木造住宅密集地域における防災街区整備事業の竣工物件で最大となる。

都は2012年1月にプロジェクトを開始。地震時の延焼が懸念される木密地域約6900haを整備区域とし、そのうち53地区・約3200haを重点整備地域として不燃化特区に指定している。建て替えや再開発事業、延焼遮断帯の設置などで2020年度までに整備区域の不燃化領域を70%まで高めることを目標としており、2016年度の段階で62%となっている。

「アトラス品川中延」は不燃化特区内に位置し、敷地面積は5696.85m2。従前は85区画あり、1923年の関東大震災後の復興住宅として建てられた旧同潤会の長屋など、主に旧耐震基準の古い木造住宅が密集していた。土地・建物所有者115人と借家人25人がおり、権利関係者は140人にのぼった。再開発にあたり、2013年10月に合意形成支援業務の主体に選ばれた旭化成不動産レジデンスが権利関係者の合意形成に尽力し、2014年3月には準備組合の設立にこぎつけた。

同物件は東急池上線・荏原中延駅から徒歩4分の鉄筋コンクリート造13階建て。等価交換で土地・建物所有者の6割以上が住戸を再取得し、72戸は権利者向けとなった。販売に出された住戸も21日現在残り1戸と人気。3LDK・74m2弱で7800万円台が最多という。入居開始は3月。防災広場や集会所も設置され、かまどベンチや井戸、非常用発電機も備える。品川区と帰宅困難者受け入れ協定も締結。備蓄も行う。旭化成不動産レジデンスは分譲マンション事業については土地を取得せず、建て替えもしくは再開発による等価交換により行い、権利者向けを除いた住戸を販売するという方式を採っている。

都内の防災街区整備事業は「アトラス品川中延」が6カ所目。防災街区整備事業では今後、新宿区の西新宿五丁目北で住友不動産が中心となり、今回を上回る約2.4haの敷地で約1000戸の開発計画が進められている。事業完了は2023年度の予定となっている。

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