ゴーン被告が無断出国 レバノンで会見(写真:Panoramic/アフロ)

さまざまな場所で危機管理広報のセミナーをしていますが、毎回必ず出てくる質問が「どんな時に記者会見をするべきなのかがわかりません」。マニュアル的に回答すると「組織存亡の危機、評判失墜の時。回復を急ぎたい時」になるのですが、開きたくても開けないこともあります。不測の事態がクライシスとなれば、その時の状況によって判断するしかないのです。

現在話題になっている元日産会長ゴーン氏と森法相の記者会見から掘り下げて考えてみましょう。

記者会見は評判を守るため

年始早々の2020年1月8日、海外逃亡した元日産会長カルロス・ゴーン氏がレバノンで記者会見をしました。海外逃亡という違法な行いをしても堂々と記者会見をする、前代未聞の展開といえます。

この時の目的は、明らかに自分を守るためです。フランスのPR会社がついていたと報道されていますが、戦略的な筋書きができており、世界中の各メディアがこぞって報道を競い合いました。違法性云々よりも日本の司法制度に関心を持たせることに成功したといえるでしょう。

ゴーン氏のメディア戦略を振り返ってみます。

2018年11月19日、ゴーン氏逮捕
2019年1月30日、逮捕後初の単独インタビュー(日経新聞、東京拘置所にて)
2019年3月6日、保釈。変装した姿が話題に
2019年4月4日、再逮捕
2019年4月9日、弁護団がビデオメッセージ公開
2019年4月25日、再度保釈。スーツ姿
2019年12月31日、レバノンに海外逃亡した声明を発表
2020年1月8日、レバノンにて記者会見(12か国、60社、120席)

ゴーン氏の反撃は、日経新聞の単独インタビューで拘置所の発信から始まりました。保釈が伸びるリスクのあるインタビューであったと思います。

残念だったのは、3月6日の保釈時の変装。あまりにも意外であったため、本筋とは関係のない憶測報道が増えてしまいました。数日後、弁護士は自分が演出したと謝罪をしましたが、逃げの姿勢を印象づける明らかな失敗となりました。

4月9日のビデオメッセージは、弱者を演出する狙いがあったのか、ネクタイを締めず、メッセージも明確ではありませんでした。変装もビデオメッセージもゴーンらしさに欠けるものでした。

そして今回の海外逃亡先レバノンでの会見。記者の選択、内容の組み立て、メッセージ、身振り手振りのアピール、すべてが計算されたものであったと感じます。

年末を狙っての海外逃亡、年始の、記者が暇な時期での大々的な記者会見。すべての演出が自分を守るための戦略的記者会見でした。海外逃亡したまま記者会見をしなければ、単なる逃亡者です。自分の正当化であっても記者会見をすることが自分自身を守ることにつながると考え、周到な準備で開催したといえるでしょう。

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