2016/05/16
防災・危機管理ニュース
新入生代表女子学生の夢は「国際難民問題の解決」
松下村塾の流れを汲む日本大学危機管理学部

2019年に創立130周年を迎える日本大学。危機管理学部の開設はその記念事業の一環として構想されていたものだという。福田氏がその構想を大学本部から伝えられたのは、サバティカル制度を利用し、米コロンビア大学「戦争と平和研究所」の客員研究員をつとめ終えて帰国した直後の2010年4月のことだった。
日本大学の創立は1889年(明治22)。創設者の山田顕義は伊藤博文内閣で初代司法大臣を務めた人物だが、幕末時代は長州藩の倒幕の志士として活躍した。以降、長くなるが、危機管理学部創設の話につながるので少し詳しく書く。
顕義は幼少のころ、高杉晋作、久坂玄瑞など多くの幕末の志士を輩出した松下村塾の最後の門下生として、思想家・教育家である吉田松陰の薫陶を受けた。戊辰戦争では様々な戦いで指揮を執り、西郷隆盛から「用兵の天才」と賞賛されたことでも知られている。明治時代に入り、大村益次郎らとともに日本陸軍の創設にも密接に関わるが、1871年(明治4)に岩倉遣欧使節団として渡欧すると、ヨーロッパの軍制よりも法制度の充実に感銘を受け、帰国後は日本の法整備に力を注いだ。当時にあって、「法は軍に優先する」という信念のもと、シビリアンコントロール(文民統制)の重要性を日本で初めて提唱したのも顕義だった。これは現代における安全保障の考え方の先駆けともいえる。
その後、顕義は1883年(明治16)から1891年(明治24)まで司法卿・司法大臣として明治法典(刑法、刑事・民事訴訟法、民法、裁判所構成法など)の編纂に尽力。現在では日本の「近代法の父」とも呼ばれている。そして日本の法制度の次世代を担う人材を輩出するべく1889年(明治22)に創設したのが日本法律学校であり、これが日本大学の前身となる。
福田氏は「日本に大学はたくさんあるが、松下村塾の流れを汲む大学は日本大学だけ。日本大学が危機管理学部を構想したのは、学祖・山田顕義の建学の志を今に伝えたいという想いがあった。私もそれに大いに賛同し、新学部の創設に心血を注いだ」とする。
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