2016/07/01
噴火リスクにどうそなえる?
企業の対策③ 建設業における噴火対策
8つのステップで考える
これら3つの重要業務と、それを達成させるBCPを作成するにあたり、同社では8段階に分けた作業を実施している(図2)。
写真提供:大林組
ステップ1の「災害時組織体制の作成」では、社長や専務などキーパーソンが不在の時でも、指揮・命令系統が滞らないよう代理体制まで整備した。
ステップ2の「災害対策拠点および代替拠点の確保」では、本社が浅間山の麓を流れる河川に近いことから本社が使えなくなることを想定し、本社より標高が高い専務の自宅を代替拠点に指定した。
ステップ3「関係先に対する情報発信および情報共有の準備」とステップ4「契約者である災害協定先を明確にし、要員の安否の確認」では、発注者や協力会社、病院など関係機関について連絡先を整理した。
ステップ5「避難方法、2次災害防止策、緊急要員のための備蓄、救命機材準備」では、社員の避難所を決めるとともに、食料や飲食を備蓄する対策をまとめた。
ステップ6「重要な情報書類等の・バックアップの実施」は、同社が最も手間をかけたもので、遠隔地でのサーバの2重化など多額は投じられないため、本社と各工事現場が重要データをそれぞれ定期的にDVDおよびハードディスクに保存し、代替拠点となる専務宅に保管することにした。
ステップ7「人員と資機材の調達の準備」では、土木建築技術者、重機・車両の種類や台数など、被災後に業務を続ける上で必要となるリソースを日常的に把握できるようにした。
最後のステップ8「重要事業の選定と目標時間の決定」は、2004年の浅間山の噴火時における実際の復旧経験を生かして策定した。
大手建設業者の対応
噴火が発生した際、対応にあたるのは、周辺地域の建設業だけではない。当然、大手ゼネコン各社も噴火が発生した際には、被災地に赴き、迅速な緊急対応や復旧にあたる。 ゼネコン各社では、地震、津波、台風、洪水、集中豪雨、土砂崩れなど、全国で発生する様々な災害対応の経験を生かし、BCPや災害対応計画を発動するスタンスだ。例えば、噴火の発生は、洪水や豪雨などの水災害同様に、事前にある程度予知が可能であるため、初動体制の構築にあたって、水災害対策のマニュアルを参考にすることもできる。
一方、噴火災害に備えた建設技術は、かなり高度化している。
ゼネコン各社では、災害復旧時に作業員が入れない場所や人体に危険を及ぼす環境での作業を確保するために、すべて無線で遠隔操作が可能な「無人化施工技術」を導入している。無人化施工技術は、火砕流や土石流、大量の土砂を取り除くことを目的に、雲仙普賢岳(長崎県)噴火の復旧工事で初めて導入されて以来、有珠山(北海道)の噴火、三宅島でも活用される、噴火対策に不可欠な技術だ。
2011年3月11日の地震の影響による福島第一原発事故の処理では、作業員の放射能被ばくを防ぐために無人化施工技術が活用された。 大林組では、有人の操作機械に比べ、オペレーション時に周囲の情報量が少ないという無人施工技術のデメリットを、3D映像や全方位カメラで視覚情報を増大させたり、作業音や振動・傾斜を遠隔操作席に再現させるなど、バーチャルリアリティを使うことで改善。従来の無人化施工に対して、一般のオペレーターが比較的短期間に習熟できるようにもした。簡易操作の実現により、特殊な技術を持った社員だけでなく、多くの作業員が習熟できることで、災害時に限られた人員でも機械操作が対応になる。同社では、BCPの観点からも、より迅速な業務対応が可能になるとしている。
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