誰からか分からない手紙は衝撃の中身でした

社長に悲痛な手紙

ここは、都心にある100名ほどの中小企業。主に歯科医院にいろいろな材料を販売する卸売業です。ある朝、社長のMさんが出社すると、デスクの中に見慣れない封筒が…。不審に思いながら開封すると、それは従業員からの悲痛な叫びでした。

「社長。こんな手紙で自分の状況を、しかも匿名でお話しするのは大変心苦しいのですが、いろいろ考えた結果、こうするしかないと判断しました。実は私は上司からひどいパワハラを受けています。会社に相談窓口があるのは知っていますが、誰に伝わるか分からないし、上司本人に相談したことがばれたら、今よりひどい目に遭うのではないかと恐ろしくてたまりません。パワハラの内容は、私の仕事ぶりが気に入らないのか、何をするにもケチをつけ、ひどいときにはみんなの前で怒鳴りつけられた挙句、提案書を投げつけられました。それから、長時間立たされたまま小言を言われたり、妻のことを悪く言ったりされました。また、休日や深夜にも仕事の件で電話やLINEをしてくるので、おちおち休めません。このままでは精神的におかしくなると思い、悩んだ末この手紙を書いています。どうか、この事態を解決してくださるよう、お願いします。もし改善が見られない場合は、労基署へ相談に行くつもりです」

社長は大変な衝撃を受け、すぐに総務部長を呼びました。総務部長は、全く心当たりがないと答えはしたものの、内心では「もしや営業の〇〇部長のことではないか…。彼は、売上はいいんだが部下に厳しいことで有名だ。彼の部署では、この1年で3人も新人が辞めてるし…。ともかく、労基署なんかに行かれたらそれこそ大変なことになってしまう。ここは何とかしなくては」と考えたのです。