2019/09/04
あるある職場のハラスメント!
ハラスメント防止のしおりも有効
読者の皆さんならもうお分かりの通り、この部長の行動は明らかなパワハラです。しかし、被害者が匿名で訴えてきた場合、企業はどのように対応すればよいでしょう。
多くの企業で、事案解決の手順としてやってしまいがちなのが「事実確認を先にする」です。事実確認は、ハラスメント事案解決に必要な一つのステップではありますが、最初にすることではありません。特に被害者が匿名の場合、最悪、冤罪(えんざい)の可能性もあります。ですからこの場合、総務部長がアタリを付けた部署にそれとなく聞き込みを行う、などという行為は炎上の可能性もあり、厳禁です。
では、どうしたらよいのでしょうか。まず、被害者が匿名の場合は、全体に向けた注意喚起が必要です。今回のケースでは、申し出があったことも伏せて、早急にハラスメント防止研修を実施します。
また、この事例では、相談窓口が設置されていたにもかかわらず有効活用されず、いきなり社長への手紙という形になってしまいました。これは従業員が相談窓口の運営状況を正しく理解していないことの表れです。被害者は「相談したら自分はどうなるのか、報復されるのでは?」という懸念から、このような行動に出たもの考えられます。もし総務部が(1)相談窓口では、誰が担当するのか(2)相談した人の立場はどうなるのか(3)守秘義務について(4)報復行為には厳罰、などの社内ルールを全従業員に明示していたならば、正しく相談窓口が利用されたと考えられます。
苦情・相談先を明記した「ハラスメント防止のしおり」などを作成し、上記の内容も付け加えて、全従業員に配布するとよいでしょう。
(了)
あるある職場のハラスメント!の他の記事
- 人知れず悩んでいるパワハラ加害者
- 匿名での告発には全体への注意喚起を
- 断れない立場の部下へのアルハラに注意
- 「昭和の常識」が阻む女性活躍
- その持ち物や掲示物、周りの迷惑かも
おすすめ記事
-
過疎高齢化地域の古い家屋の倒壊をどう防ぐか
能登半島地震の死者のほとんどは、倒壊した建物の下敷きになって命を落とした。珠洲市や輪島市の耐震化率は50%程度と、全国平均の87%に比べ極端に低い。過疎高齢化地域の耐震改修がいかに困難かを物語る。倒壊からどう命を守るのか。伝統的建築物の構造計算適合性判定に長年携わってきた実務者に、古い家の耐震化をめぐる課題を聞いた。
2024/03/28
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年3月26日配信アーカイブ】
【3月26日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:四半期ニュース振り返り
2024/03/26
-
-
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年3月19日配信アーカイブ】
【3月19日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:副業・兼業のリスク
2024/03/19
-
リスク担当者も押さえておきたいサイバーセキュリティ対策の最新動向
本勉強会では、クラウド対応のサイバーセキュリティ対策の動向を、簡単にわかりやすく具体的なソリューションの内容を交えながら解説します。2024年3月8日開催。
2024/03/18
-
発災20分で対策本部をスタートする初動体制
総合スーパーやショッピングモールなど全国各地のイオン系列の施設を中心に設備管理、警備、清掃をはじめとしたファシリティマネジメント事業を展開するイオンディライト(東京都千代田区、濵田和成社長)。元日に発生した能登半島地震では、発災から20分後にオンラインの本社災害対策本部を立ち上げ、翌2日は現地に応援部隊を派遣し、被害状況の把握と復旧活動の支援を開始しました。
2024/03/18
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方