自分が不幸では、人に優しくできない

このまま放っておいても自分の機嫌が悪くなるばかりです。思い悩んだA支店長は、ある日の夕方、ふと思いついて、会社が用意したカウンセリングサービスに電話をかけてみることにしたのです。

「はい、こちらハートフル相談室です」
「あ、もしもし。あの…。ちょっと話したいことがあるんですが」
「話したいことがおありなんですね。このままお電話でもお聞きいたしますし、面談がよろしければカウンセリングルームの予約を取ることも可能です」
「そうですか…じゃ、今日は電話で聞いてもらおうかな」

ということで、顔も知らないカウンセラーに話をし始めたところ、相手はさすがに聞くプロ、気づけば1時間近く心の内をぶちまけていたA支店長。話を振り返ってみれば、一つ一つの困りごとに対してこれといった具体的アドバイスはなかったのですが、なんだか心の曇りが取れて、頭がすっきりしたような気分が訪れたのです。思えば、ここ数年、じっくり人に話を聞いてもらうなんて、なかったことです。

翌日出社したA支店長は、早速怒鳴りつけたBさんに、あんなことをして悪かったと謝罪。周囲は大変驚きましたが、A支店長がその後、定期的にカウンセラーと話していることは、まだ誰も知りません。

このように、パワハラの加害者は、何らかの問題を抱えていることが非常に多いようです。自分が不幸せな状況では、人に優しくできるはずもありません。一人一人のセルフケアがいかに大切か、常に意識して暮らしたいものです。

(了)