2017/02/14
防災・危機管理ニュース
安全を管理する仕組み
セーフコミュニティは、必ずしも安全な街であることを証明するものではないと白石氏は指摘する。「認証を受けると安全というように受け止められることがあるが、そうではなく、危険な要素や身体的な精神的な危惧が管理されている状態」とする。「自分の住む街での犯罪発生率が全国平均より低いからといって、それがすぐに認証につながるわけではないし、認証を受けたからといって安全な街であるということでもない」(白石氏)
また、セーフコミュニティは、必ずしも自治体の行政区単位で取り組むものではなく、コミュニティとして取り組むべきものであることも白石氏は強調する。つまり、物理的な地域だけでなく、共通の関心事、専門的な組合や連合なども対象になりうる。ただし、「日本では、推進役となるのは通常、行政で、また、数値的なデータも行政の協力なしでは管理できないため、行政区単位での取り組みが多くなっている」(同)。最終的に目指すのは、コミュニティが主体となって住民自らがプログラムを推進することだという。学校だけを対象にしたセーフスクール制度も国内外で広まりつつある。
1.地域に耳を傾けること-何がもっとも重要な問題かを地域の住民たちが自分たちで決める
2.地域レベルで、取り組みを調整する
3.住民の傷害・事故予防の大切さについて認識を高める
4.傷害予防には、国レベルの政策も含む
5.高い関心を持つ団体や組織が地域の取り組みを支援する
6.地域の全メンバーを巻き込んで取り組む
東日本大震災以降、自然災害に対するコミュニティの意識は高まりつつあるが、一方で、子どもや高齢者の事故、あるいはいじめや自殺などへの対処も大きな課題になっている。さまざまな危険に目を向け、コミュニティ全体でこうした危険を減らしていくセーフコミュニティの取り組みは、今後の安全な街づくりを進めていく上で大きなヒントになりそうだ。

(了)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/10/21
-
「防災といえば応用地質」。リスクを可視化し災害に強い社会に貢献
地盤調査最大手の応用地質は、創業以来のミッションに位置付けてきた自然災害の軽減に向けてビジネス領域を拡大。保有するデータと専門知見にデジタル技術を組み合わせ、災害リスクを可視化して防災・BCPのあらゆる領域・フェーズをサポートします。天野洋文社長に今後の事業戦略を聞きました。
2025/10/20
-
-
-
走行データの活用で社用車をより安全に効率よく
スマートドライブは、自動車のセンサーやカメラのデータを収集・分析するオープンなプラットフォームを提供。移動の効率と安全の向上に資するサービスとして導入実績を伸ばしています。目指すのは移動の「負」がなくなる社会。代表取締役の北川烈氏に、事業概要と今後の展開を聞きました。
2025/10/14
-
-
-
-
トヨタ流「災害対応の要諦」いつ、どこに、どのくらいの量を届ける―原単位の考え方が災害時に求められる
被災地での初動支援や現場での調整、そして事業継続――。トヨタ自動車シニアフェローの朝倉正司氏は、1995年の阪神・淡路大震災から、2007年の新潟県中越沖地震、2011年のタイ洪水、2016年熊本地震、2024年能登半島地震など、国内外の数々の災害現場において、その復旧活動を牽引してきた。常に心掛けてきたのはどのようなことか、課題になったことは何か、来る大規模な災害にどう備えればいいのか、朝倉氏に聞いた。
2025/10/13
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方