政府が2026年度の創設を目指す「防災庁」の地方誘致について、時事通信が調査、集計したところ、誘致を求める地域が少なくとも21カ所あることが分かった。名乗りを上げた都道府県は約3割に当たる15道府県。市などを含めると全国で28団体に上った。災害対応の経験がある自治体による要望が目立ち、首都機能のバックアップや東京一極集中是正などが理由に挙げられた。
 47都道府県などを対象に今月中旬、調査、取材し、全自治体から回答を得た。13日までに国に誘致の要望書を提出したのは北海道、石川、大阪、岡山、熊本などの13道府県、仙台、大阪、神戸など10市と関西広域連合。名古屋市は来月にも国に要望する予定で、群馬、三重両県と福島市は、知事や市長が誘致の意欲を表明した。
 うち、仙台市や福島県いわき市は東日本大震災の被災経験から得た知見などを強調。昨年能登半島地震に見舞われた石川県と同県小松市は、輸送面で南海トラフ地震のバックアップに優れた小松空港周辺を候補地に挙げている。
 南海トラフ地震の被害想定地域の一つ、高知県は、大規模災害を想定してあらかじめ被災後のまちづくりを準備する「事前復興」を総合的に支援する「事前復興局」を防災庁に設け、県内に設置するよう要望する。
 2府6県4政令市からなる関西広域連合も、首都圏だけでなく関西の拠点が必要だと強調。構成メンバーの兵庫県は、30年前の阪神・淡路大震災の経験を基に、神戸市周辺への誘致を同市と共同で提案する。長野県と岡山県は「東京一極集中の是正」に対する要望の中で、中央省庁の移転などを訴えつつ、防災庁の地方設置も求める。
 防災庁創設は石破政権の肝煎り施策の一つ。24年12月、石破茂首相が「分局的な発想は当然あってしかるべきだ」と発言し、自治体の間で地方拠点誘致への期待が高まっている。首相は今月6日、地方拠点の検討を加速するよう指示。12日には、赤沢亮正同庁設置準備担当相が地方拠点の設置場所に関する選定基準を策定する考えを示した。 
〔写真説明〕防災庁設置準備室に掛けられた看板=東京都千代田区

(ニュース提供元:時事通信社)