前回は、大きな地震に見舞われたときに生じる、建物・設備に関する被害の確認について説明しました。今回は、自社の製造・サービスを提供するに当たって不可欠なライフラインや材料・部品に関する被害の確認と、その後の対応について考えます。

復旧活動編その3 被害の確認:ライフラインや材料・部品

1. ライフラインの被害確認

(1)被害想定を踏まえておく
大規模な地震が発生した場合、電力・ガス・水道というライフラインは、広範な地域でその供給が停止すると考えられます。

まず、自社がある地域で起こり得る大地震の被害想定を踏まえて防災対策を進めることが必須です。その上で、実際の被害に見舞われた場合は、自社の製造・サービスの提供に必要な各種ライフラインがどの程度使えるのかを速やかに確認することが重要です。

例えば、首都直下地震では次のような被害想定が出されています(表1)。

写真を拡大 「首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)」(中央防災会議・首都直下地震対策検討ワーキンググループ 平成25年12月9日)をもとに作成

(2)電力・ガス・上下水道の使用可否を確認する
特に製造業など電力・ガス・水道の供給が業務に不可欠である場合、まずそれぞれのライフラインがどの程度使えるか確認します。事務作業が中心となっている企業においても、社内のさまざまなシステムを稼働させ、パソコン・スマホを継続して使用するためにはどのくらいの電力が必要であるか、事前に把握しておくとよいでしょう。

ライフラインの確認に当たっては、次の点にも注意します。

・電力を使う設備・機器(エレベーター、照明器具、パソコンなど)が使えるか確認する
・食堂などのガス機器が使えるか確認する(異臭がする場合は、点火しない)
・トイレや給湯室の水道設備が使えるか確認する など

自社の要員で解決できない障害が発生している場合は、ライフライン事業者(電力会社、ガス会社および水道局)や設備管理会社に支援を要請します。

平常時にライフラインを担当している従業員が、被災時にも必ず現場にいるとは限りません。平常時からライフライン事業者および設備管理会社の連絡先とそれぞれの契約番号などをリスト化し、職場全体で共有しておくことが重要です。