■中国進出企業にとって対岸の火事ではない

どうでしょうか?読者の皆さんはどう思われたでしょう? 「中国ビジネスって厄介だな」と思われた方も多いかも知れません。しかし、中国の土地を借り、中国の人材を活用させてもらい、商品を製造する限りにおいては、中国の法律に従うことは当然のことです。それを日本式の常識ややり方で云々するのは間違いではないでしょうか。

この案件の話をよくよく聞いてみると、中国人の環境管理本部長は何度も日本人総経理(現地法人社長)に事の重要性を訴えていたにも関わらず、日本人総経理はそのことを聞き流していたというのです。

要するに、中国政府の査察による指摘は突然ではなく、その前兆は自らのスタッフから情報としてあがっていたというのが事実です。

このような実例から察するに、早い時期に中国に進出した日本企業の現地法人の多くが、前述のような「工場開設時からの隠れた問題」を抱えている可能性を否定できません。勤務経験の長い優秀なスタッフとの緊密な情報共有は非常に重要な業務といえるでしょう。

中国に進出した日系企業の経営も慣れが出て、中だるみ、惰性感が拭えない企業も散見されます。今一度初心に戻って、再進出の気持ちで総点検を行うべきと見ております。

今回のコロナウイルス禍を契機として、皆様の事業のBCM(事業継続マネジメント)強化をお勧めします。