災害時においてよく起こりがちなことは、バットを振れない人が、いきなりバッターボックスに入りホームランを打とうと試み失敗するケースである。1985年に発生したメキシコ大地震の時には、近隣住民を助けようとした一般市民の方々に多くの犠牲者が出てしまった。

そのような悲劇を起こさないためにも、個人練習のための基礎的知識とチームで戦うための実践的なノウハウを読者の皆様に提供するのが目的で連載を続けてきたということを、ここで改めて述べさせていただきたいと思う。

ICSの概念を取り入れることにより、教育と訓練を受けた人達は次のことができるようになる。

1.安全に関する理解を深めることができる。
2.対応目標を達成するためのプロセスを確実にすることができる。
3.有限な資源を有効に活用し、チームビルディングを実践することができる。
4.標準化された書式を使用することの重要性を理解することができる。 


2017年1月末に約2日間を費やして、東京電力ホールディングス株式会社様に対して、これまでの講義形式から一歩踏み出し、各発電所及び本社の原子力防災を担うメンバーに米国式のICS研修を実施した。

東京電力は311以後、緊急時の対応にICSの概念を導入し全組織へ体系的に導入を始めていることは、ご存知だっただろうか? 2013年11月号のリスク対策.com Vol.40で「変わる!東京電力の危機管理体制」にも、その詳細が取り上げられているが、その後も継続的に訓練を重ね、組織としての危機対応能力の向上に取り組んでいる。

関連記事:変わる!「東京電力の危機管理体制」
(リスク対策.com Vol.40/2013年11月25日付記事)

 


関連記事:変わる!「東京電力の危機管理体制」
http://www.risktaisaku.com/articles/-/358
関連記事:東京電力の危機管理を変えたインシデント・コマンド・システム
http://www.risktaisaku.com/articles/-/363

このように繰り返し訓練を行っていることで機能的なチームとして、あらゆるインシデントに対し臨機応変に対応することが可能になるのだ。

次号では、■災害救護活動、■捜索・救助活動、■危険物・テロ災害教育について総括する。

(了)

参考文献
• オクラホマ州立大学・国際消防訓練協会発行 「消防業務エッセンシャルズ 第6改訂版」
• COMMUNITY EMERGENCY RESPONSE TEAM. Basic Training Instructor Guide.FEMA.DHS
• リスク対策.com Vol.37~40