従業員の不安の解消

本報告書では、従業員が不安を感じる可能性のあるものを具体的に次のように列挙した上で、そのような従業員の不安に対するサポートの仕組みを、事業所の再開より前に用意することが特に重要であると指摘されている。

- 健康上の危機や感染に対する恐怖
- 子どもや健康上の不安を抱える家族・親類の世話
- パートナーが仕事を失った場合などの金銭的な不安
- 友人や近親者との死別
- 仕事場を同僚と共有すること
- 公共交通機関を使うことへの懸念
- 社会や仕事の環境・習慣が大きく変わったことに対する適応

このような問題意識に基づいて、職場に復帰する従業員の不安に対するサポートの仕組みがあるかどうかを尋ねた結果が図1である。回答者の65%程度が既に仕組みがあると回答しているほか、25%以上が準備中(No, but will be putting one in place)と回答している。

写真を拡大 図1. 職場に復帰する従業員の不安に対するサポートの仕組みがあるか(出典:FortressAS / Market Report: Planning the Return to the Office)

また図2は、公共交通機関を利用することに不安を感じる従業員に対して、時差出勤をするよう提案するかどうかを尋ねた結果であり、回答者の多くが「Very likely」(そうする可能性が非常に高い)または「Likely」(そうする可能性がある)と回答している(注3)。

写真を拡大 図2. 公共交通機関の利用に不安を感じる従業員に時差出勤を提案するかどうか(出典: FortressAS / Market Report: Planning the Return to the Office)

本報告書においては、行動を大幅に規制されるなどさまざまな経験を通して、従業員の間にネガティブな感情が発生しがちな状況であることから、従業員に対する支援や気遣いのある環境(supportive and caring environment)に復帰していくと感じることが重要だと述べられている。図2はこのような問題意識に沿った内容と言えるであろう。