2017/08/24
防災・危機管理ニュース
消防庁は23日、「消防防災ヘリコプターの安全性向上・充実強化に関する検討会」の第1回会合を開催した。3月の長野県消防防災ヘリの墜落事故を受け安全性向上を図るため、都道府県庁や航空隊基地の地上端末で見られるヘリコプター動態管理システムの利用を徹底するほか、ヒヤリ・ハット事例の共有など対策を進めていく。
3月の長野県での事故では訓練フライト中に墜落。操縦士1名を含む搭乗者9名全員が死亡した。消防庁ではその後、安全確保の再徹底の通知や都道府県・政令市へのヒアリングなどを実施。さらに安全性の向上に向けて同検討会を開催することとなった。
23日の会合では消防防災ヘリコプターの位置情報をリアルタイムに把握し、消防庁や都道府県庁、航空基地などの地上端末で把握できるヘリコプター動態管理システムの徹底活用が消防庁から提案。システムの起動状況は「通常運行時も含め常時起動」が57.4%となっているが、長野の事故時のように訓練では起動しない自治体もある。また、通信間隔は30秒以内が理想的で、「20秒」が13.0%、「30秒」が33.3%。間隔を短くすると通信コストがかさむため、半数以下となっている。消防庁では自治体に予算確保などでシステムの常時活用と短い通信間隔の設定を促す。
事故になりかけたいわゆるヒヤリ・ハット事例の共有が、潜在危険予測に関するノウハウの伝承となることから、関係職員のみが閲覧できるようパスワードを付与し、全国航空消防防災協議会のホームページで公開する計画。また、航空の安全のための訓練であるCRM(Crew Resource Management)の導入も進める方針。
またヒアリングの結果、操縦士の高齢化が進み、大量離職が将来予想されたり、2人操縦体制を導入したくとも操縦士不足でできない自治体もあったりすることから、操縦士育成を強化する。消防庁では今年度中に同検討会で報告書のとりまとめを行う計画。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/10/28
-
-
-
-
-
月刊BCPリーダーズ2025年上半期事例集【永久保存版】
リスク対策.comは「月刊BCPリーダーズダイジェスト2025年上半期事例集」を発行しました。防災・BCP、リスクマネジメントに取り組む12社の事例を紹介しています。危機管理の実践イメージをつかむため、また昨今のリスク対策の動向をつかむための情報源としてお役立てください。
2025/10/24
-
-
「防災といえば応用地質」。リスクを可視化し災害に強い社会に貢献
地盤調査最大手の応用地質は、創業以来のミッションに位置付けてきた自然災害の軽減に向けてビジネス領域を拡大。保有するデータと専門知見にデジタル技術を組み合わせ、災害リスクを可視化して防災・BCPのあらゆる領域・フェーズをサポートします。天野洋文社長に今後の事業戦略を聞きました。
2025/10/20
-
-








※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方