2017/08/25
防災・危機管理ニュース
内閣府を中心とした中央防災会議の防災対策実行会議は25日、「南海トラフ沿いの地震観測・評価に基づく防災対応検討ワーキンググループ」の第7回会合を開催。報告書のとりまとめを行った。大規模地震対策特別措置法(大震法)で前提となっている地震の直前予知は現時点で困難と結論。南海トラフ沿いでの最初の事象後の対応を盛り込んだ。
南海トラフ地震は2012年の想定では建物被害で約8万2000人、津波被害で約23万人など最悪で約32万3000人の死者が出ると見込んでいる。経済被害は被災地で約169.5兆円、全国での生産・サービス低下による被害は約44.7兆円が予想されている。
大震法では直前の予測が可能との前提で、予知情報の報告を受け首相が警戒宣言を発令することとなっている。報告書では「大震法に基づく現行の地震防災応急対策は改める必要がある」と明記する。
そのうえで過去の事例に基づき、最初の揺れから今後の対応を決定。今後の地震発生の可能性と、海岸からの距離といった脆弱性から考える。例えば最初の揺れが南海トラフの東側でマグニチュード(M)8クラスの場合、3日以内に隣接する西側でもさらなる地震が発生する可能性が高い。隣接エリアでも津波の到達予測が地震発生から5分以内と切迫している場合は、新たな地震が起こった後の避難では間に合わない可能性が高いためすぐに住民避難、30分以内なら高齢者など要配慮者は避難する。
この日の会議では「予測を前提としていた大震法の方針が改められるのはいいことだが、法律や制度を最終的にどうすべきか最後まで向き合うべきではないか」といった意見も出された。報告書では新制度の構築も検討すべきとしており、今後の課題となる。
小此木八郎防災担当相は会議の最後に「被害軽減に向け科学的知見に基づき、さらに対策を進める」と述べた。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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