2018/04/23
防災・危機管理ニュース

厚生労働省は17日、2017年の病院の耐震改修化状況調査の結果を発表した。これによると大規模災害発生時に各地域の初期救急の中心的役割をになう災害拠点病院や救命救急センター734施設において、敷地内すべての建物が耐震性を満たす割合は656病院で89.4%。一方で職員が使用する管理棟など一部に耐震性を満たさない建物がある病院は66(9.0%)で、そのうち「震度6強で倒壊の危険が高い」建物を含む病院数が30(4.1%)あることが分かった。改修できない要因には資金不足、改修工事に現場が対応できない、移転先探しに難航しているなどがあるという。
災害拠点病院にはもともと患者が立ち入る可能性のある建物について一定の耐震性を持つことが要件化されている。だが管理棟など職員のみが利用する建物で耐震性を満たさない場合がある。今回調査では、全734の災害拠点病院のうち、全ての建物に耐震性があるとされたのが89.4%を占めた。一方で、敷地内の一部に耐震性を満たさない建物があるのが8.0%。さらに震度6強の地震で倒壊する危険性が高い建物がある病院数が4.1%、耐震性不明が1.6%となった。
地域ごとの温度差もあった。敷地の全建物に耐震性がある災害拠点病院が100%だったのは秋田県、山形県、富山県、石川県、福井県、長野県、滋賀県、和歌山県、徳島県、香川県、高知県、宮崎県の12県。一方、耐震化率が最も低いのは福島県で50%。次いで奈良県で57%、岡山県60%の順になった。
厚労省は災害拠点病院や一般病院に耐震化費用の半額を補助している。今年度は災害拠点病院は5病院で、すべての建物の耐震化をおこなう予定。
■ニュースリリースはこちら
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000203552.html
(了)
リスク対策.com:峰田 慎二
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/07/01
-
-
-
「ビジネスイネーブラー」へ進化するセキュリティ組織
昨年、累計出品数が40億を突破し、流通取引総額が1兆円を超えたフリマアプリ「メルカリ」。オンラインサービス上では日々膨大な数の取引が行われています。顧客の利便性や従業員の生産性を落とさず、安全と信頼を高めるセキュリティ戦略について、執行役員CISOの市原尚久氏に聞きました。
2025/06/29
-
-
-
柔軟性と合理性で守る職場ハイブリッド勤務時代の“リアル”な改善
比較サイトの先駆けである「価格.com」やユーザー評価を重視した飲食店検索サイトの「食べログ」を運営し、現在は20を超えるサービスを提供するカカクコム(東京都渋谷区、村上敦浩代表取締役社長)。同社は新型コロナウイルス流行による出社率の低下をきっかけに、発災時に機能する防災体制に向けて改善に取り組んだ。誰が出社しているかわからない状況に対応するため、柔軟な組織づくりやマルチタスク化によるリスク分散など効果を重視した防災対策を進めている。
2025/06/20
-
サイバーセキュリティを経営層に響かせよ
デジタル依存が拡大しサイバーリスクが増大する昨今、セキュリティ対策は情報資産や顧客・従業員を守るだけでなく、DXを加速させていくうえでも必須の取り組みです。これからの時代に求められるセキュリティマネジメントのあり方とは、それを組織にどう実装させるのか。東海大学情報通信学部教授で学部長の三角育生氏に聞きました。
2025/06/17
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方