訓練しないことは本場でもできない

 
また今回は、初期消火とそれを支える社内訓練の重要性も改めて明らかになった。今回のアスクル火災では、従業員の自主消火体制に甘さがあった。火災発見者は消火器で消そうとして失敗。その後駆けつけた社員とともに、さらに消火器で消そうとしたが消せず、その間に火はどんどん大きくなった。そこで屋外消火栓を使おうとしたが、ポンプの起動ボタンを押さなかったため、屋上のタンクから自重で降りて来た水が細々と出ただけで、消火はできなかった。ここで初期消火の壁を突破されてしまったことが、ここまで大きな火災につながってしまった。駆けつけた消防隊が1階の火災はすぐに消火していることを考えると、屋外消火栓が使えていれば、と悔やまれる。

2月16日9時20分、屋外消火栓による1階端材室の消火状況。ポンプ起動ボタンが押されていないため、十分な水量が出ていない

後の調査で、消防訓練の際、消火器を使った消火訓練はしていたが、屋外・屋内の消火栓を使った訓練はしていなかったことが判明した。いざというときは冷静に考えることのほうが難しい。こうすればいいと頭で考えて終わっていることは、実際の災害では思いつきもせず、行動が取れない。だからこそ消防訓練は、頭が真っ白になっても身体が覚えていて動く状態にしておかなければならない。またこうした体制不備の背景には、一般的に従業員の防災意識が工場よりも倉庫の方が低い、という現状もある。改めて教訓としたい。

屋外消火栓設備。ホース格納庫奥のポンプ起動ボタンが押された痕跡はない