2023/05/14
事例から学ぶ
コカ・コーラを筆頭に、多くの製品ブランドで日本の飲料業界をリードする日本コカ・コーラ株式会社。約7割のブランドが日本独自のもので、安定供給とコストの観点から原材料などのサプライチェーンはほぼ国内にあるという。同社では、アトランタにあるグローバル本社や国内に5社あるボトラー社とともにコカ・コーラシステムを構築し、リスクマネジメントに取り組んでいる。同社広報・渉外&サステナビリティ推進部でリスクマネジメント&クライシスレゾリューションシニアマネジャーを務める清水義之氏は「グローバルとローカルの両面でリスクマネジメントを強化している」と話す。
日本コカ・コーラ
東京都
※本記事は月刊BCPリーダーズvol.38(2023年5月号)に掲載したものです。
❶ERMを展開
・今後の事業展開の目標や目的に沿ってリスクを特定し分析・評価を実施する活動を全社で展開している。
❷3段階の危機対応システム
・緊急対策管理プロセス、BCP、DRPの3段階で危機対応プロセスを管理している。
❸グループ間連携
・リスクマネジメントの枠組みは、全グループ、プロセスに共通したリスク分類を用いている。
同社が導入しているのがERM(Enterprise risk management:全社的リスクマネジメント)だ。今後の事業展開の目的や目標に沿ってリスクを特定し、分析・評価する活動を全社で展開している。さらに危機が顕在化した場合に備え、緊急対策や危機管理プログラム、事業継続計画、災害復旧プラン、サイバーセキュリティなどの細分化した計画を整備し、これらも含めて一連のフレームワークが機能している。
つまり、危機の発生を未然に防ぐ活動と、危機の発生を前提とした対応策が常に一体的に強化されている。
危機的な事態が発生した際には、まずは緊急対策(EP:Emergency Planning)を実行する。EPは局所的な人命確保や重要資産の保護を目的とした緊急行動に主眼が置かれている。
EPに続くのが、日本コカ· コーラとサプライチェーンでもあるボトラー各社、研究開発を行っているコカ・コーラ社を含めた独自の統合的な危機管理プロセスであるIMCR(Incident Management and Crisis Resolution)。そしてBCMやITの災害復旧プランであるDRP(Disaster Recovery Planning)に基づき、リカバリー活動を開始する。
経営課題に合わせてERM も変化
近年のERMの特徴は、リスクの整理がより進んでいることだという。「コロナ前から数年の動きとして、よりリスクを幅広く捉えるようになっています。災害のようなリスクに加え、他社の動向、人材確保のような経営課題上のリスクも合わせてERMとして整理するようになり、経営企画が関与するようになっています」と清水氏は説明する。
ただし、危機管理プロセスのIMCR は、現在でも広報・渉外&サステナビリティ推進部をコーディネーターとしたマルチファンクションチームが主導しているという。「いろいろな種類のインシデントに対し、共通してリスクとなりうるのが企業へのレピュテーション。イメージ毀損が最大のリスクとなりうることから、インシデントマネジメントのコーディネーターが広報にあるのは理に適っていると考えています」
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