【ロンドン時事】ロシアのウクライナに対する攻撃は、ロシア民間軍事会社ワグネル創設者プリゴジン氏の武装反乱が収束して2日後の26日も続いた。反乱の戦況への直接的な影響は今のところ見られない。ただ、プーチン政権の脆弱(ぜいじゃく)性が露呈されたことをウクライナ側は「好機」と捉え、反転攻勢加速へ追い風としたい構えだ。
 報道によれば、25日夜から26日朝にかけ、東部ドネツク州クラマトルスク南方の町にミサイル4発が発射され、家屋倒壊や断水の被害が出た。東部の都市ドニプロも砲撃にさらされた。反乱でロシア国内に大きな動揺が生じたにもかかわらず、戦闘はやむことなく続いている。
 プリゴジン氏の反乱を巡っては、あと数日騒動が続けばプーチン大統領がウクライナ侵攻より内乱への対応を優先せざるを得ず、戦況を左右したとも言われるが、結果的に1日で幕を閉じた。しかしウクライナ側は、政権崩壊が現実にあり得ると示されたことが、ロシア軍と対峙(たいじ)する部隊の士気を向上させると期待。さらに、事態がウクライナと西側の結束強化を導くとの見方も出ている。
 ウクライナ国会議員のオレクシー・ゴンチャレンコ氏は英スカイニューズに対し、「(反乱で)われわれの勝利がさらに近づいた。これをどう成功裏に利用するかは今後数週間の展開に懸かってくる」と指摘。英王立国際問題研究所(チャタムハウス)ロシア・ユーラシア部のキア・ジャイルズ上級顧問研究員も、ロシアを負かす可能性が示されたことで、ウクライナが必要とするものを与えるべきだとの考えが西側で広まり、武器支援を後押しすると分析した。 
〔写真説明〕26日、ウクライナ東部ドネツク州で、ロシアのミサイル攻撃後にがれきの撤去を手伝うウクライナ兵(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)