【カイロ時事】パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスは7日、イスラエルに対する大規模攻撃を実施し、同国のメディアによると、100人以上が死亡、900人以上が負傷した。攻撃を受けイスラエル軍がガザを空爆し、ガザの保健省は、少なくとも198人が死亡し、1600人以上が負傷したと発表した。
 ハマスの攻撃では、イスラエル領内に2000発以上のロケット弾が撃ち込まれた。並行する形でガザの戦闘員が越境してイスラエルの住宅地に侵入し、銃撃戦が発生。イスラエル軍報道官は、ハマスに拉致されたイスラエル住民がいると明らかにした。
 今回の攻撃は、ハマスによる対イスラエル軍事作戦として過去最大規模。武装勢力との衝突でイスラエル側にこれほどの被害が出るのは、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラと交戦した2006年以来とみられる。
 イスラエルのネタニヤフ首相は緊急のビデオ演説で「われわれは戦争状態にある。この戦争に勝つ」と語った。
 07年からガザを実効支配するハマスは、これまでもイスラエルと交戦を繰り返し、経済封鎖もあって大きな打撃を受けてきた。求心力の衰えが深刻化する中、大規模攻撃に踏み切って局面の打開を図った形だ。イスラエルは米国の仲介でサウジアラビアと国交正常化交渉を進めており、パレスチナ問題が置き去りにされるとの懸念も高まっていた。
 バイデン米大統領は7日、ネタニヤフ氏と電話で会談。声明でハマスによる攻撃を非難するとともに、イスラエル支援の用意があると表明した。 
〔写真説明〕7日、イスラエル中部アシュケロンでロケット弾攻撃を受けて破壊された車両(AFP時事)
〔写真説明〕7日、パレスチナ自治区ガザから発射されたロケット弾(EPA時事)
〔写真説明〕7日、パレスチナ自治区ガザで、イスラエル軍の空爆後に立ち上る黒煙(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)