【カイロ時事】パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエルとの衝突は8日も続き、同国メディアによると、イスラエル側で少なくとも600人が死亡、約2000人が負傷した。一方、イスラエル軍はガザに空爆を加え、パレスチナ保健省は少なくとも370人が死亡、約2200人が負傷したと発表した。日本の外務省によると、日本人の被害の情報はない。
 イスラエル政府はまた、イスラエル人ら100人以上が領内に侵入したパレスチナの戦闘員に拉致されたと発表した。ガザに連行された人もいるという。
 武装勢力との衝突によるイスラエル側の人的被害は、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラと交戦した2006年を超え、近年で最悪の結果となった。イスラエル政府は治安閣議で、ハマスとの「戦争」を正式に承認。これにより「大規模な軍事活動」が可能となり、報復攻撃は激しさを増すとみられる。
 ハマスは7日の作戦開始以降、イスラエル領内に数千発のロケット弾を発射。商都テルアビブの建物にも着弾した。
 また、パレスチナ戦闘員が越境し、イスラエル南部スデロトなどガザ周辺の住宅地20カ所以上で市民を殺傷。イスラエル軍は「虐殺」と非難し、多数の戦闘員を殺害したものの、8日も交戦が続いた。さらに、ハマスに連帯を示すヒズボラが同日、イスラエルにロケット弾などを撃ち込んだ。
 イスラエルのネタニヤフ首相は7日夜のテレビ演説で、今回のようなハマスの大規模攻撃は前例がなく、「二度と起こさせない」と強調。「軍は直ちに全力を尽くしてハマスの能力を破壊する」と宣言した。 
〔写真説明〕8日、イスラエル南部スデロトで、破壊された警察署前に展開する治安部隊(EPA時事)
〔写真説明〕8日、パレスチナ自治区ガザで、イスラエル軍の空爆により破壊されたビルの跡地に立つ地元報道カメラマン(EPA時事)
〔写真説明〕7日、パレスチナ自治区ガザから飛来したロケット弾で破壊されたイスラエルの商都テルアビブの通り(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)