【カイロ時事】パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエルとの大規模な戦闘による双方の死者は9日、1300人以上となった。イスラエル軍は越境してきたハマス戦闘員の掃討作戦を行うとともに、8日夜から9日朝にかけてガザの約500カ所を空爆した。多くのイスラエル人や外国人を拉致したハマスは、イスラエルの空爆で人質が死亡したと主張。断続的にロケット弾をイスラエルに向けて放っており、衝突が収まる気配はない。
 イスラエルのメディアによると、イスラエル側では少なくとも800人が死亡、約2500人が負傷した。一方、パレスチナ保健省は、ガザで560人が死亡し、約2900人が負傷したと発表した。ハマスや戦闘に加わった武装組織「イスラム聖戦」は8日、イスラエルから計130人以上をガザに連行したと発表した。
 ガザ東方約5キロにあるイスラエル南部の集落近くで開かれていた野外音楽祭の会場では、250人以上の遺体が収容された。イスラエル側の被害が拡大した背景には、ハマス戦闘員がこうしたイベントや集落を襲ったことがある。
 イスラエル軍報道官は8日、ハマスの攻撃について「民間人に対するイスラエル史上最悪の虐殺だ」と非難。「どこにいてもハマスのテロリストを狙う」と表明した。
 軍は9日、ハマス戦闘員が侵入したガザ近くの全ての集落を掌握したと発表した。しかし、「まだテロリストはエリア内にいる可能性がある」といい、作戦を続行するとみられる。
 イスラエル軍によれば、軍は、ハマスの関連施設が入る建物などに空爆を加えた。パレスチナ通信は、多くの家屋が爆撃され、民間人に犠牲が出ていると報じた。国連人道問題調整事務所(OCHA)は、12万人以上が住居を追われ避難していると発表した。
 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は、エジプト当局者の話として、イスラエルがエジプトに人質解放の仲介を依頼したと報道。ただ、イスラエル当局者は地元メディアに「いかなる交渉も行っていない」と否定した。 
〔写真説明〕8日、イスラエル軍の空爆を受けるパレスチナ自治区ガザ(AFP時事)
〔写真説明〕9日、パレスチナ自治区ガザでイスラエルの空爆を受けて退避する住民ら(AFP時事)
〔写真説明〕9日、イスラエルとパレスチナ自治区ガザとの境界付近でミサイル落下に備えるイスラエル兵(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)