【シリコンバレー時事】米オープンAIによる対話型AI(人工知能)「チャットGPT」の一般公開から30日で1年。米巨大IT企業や新興企業が文章や画像を自動で作る生成AIサービスを急拡大させている。利用者や企業がカスタマイズ(改変)する取り組みもあり、サービスはさらに多様化し、人々の生活に浸透することになりそうだ。
 「指示や知識を組み込んでチャットGPTを改変でき、他者にも公開できる」。オープンAIの共同創業者サム・アルトマン氏は11月6日、開発者会議で新機能「GPTs」を発表した。月間利用者1億人のチャットGPTの収益基盤強化が狙いだ。
 GPTsを使い、インタビューの書き起こしの要約に特化した対話型AIを作ってみる。「事実と感情表現を明確に区別する」と事前設定し文書ファイルを添付すると、話し手の考えなのか、事実を説明しているのかを明示し要約してくれた。カスタマイズ版は「GPTストア」で配信できるようにする。利用者数に応じて収益を分配し、アプリを充実させる計画だ。
 マイクロソフト(MS)は、オープンAIの基盤技術を検索や業務用ソフトウエアに搭載。クラウドサービスの顧客企業が、基盤技術を使って自社アプリの開発や機能改善もできるようにした。
 MSとクラウド領域で競合するグーグルも、サービス展開を加速。対話型AI「バード」を公開した他、その基盤技術を文書作成ソフトにも組み込んだ。さらに顧客企業のシステムとも連携できるようにしている。
 アマゾン・ドット・コム傘下で、クラウド事業でトップシェアを誇るアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は、メタ(旧フェイスブック)に加え、アンソロピックなど新興企業の基盤技術を豊富に取りそろえる。アダム・セリプスキー最高経営責任者(CEO)は「一つの技術だけでなく、迅速に切り替えができる必要がある」とアピールする。
 基盤技術の開発には、巨大ITや新興企業が参入。巨大ITのクラウドサービスを通じ、この技術にアクセスする構図になっている。あるベンチャーキャピタル幹部は「基盤技術は既に(競争が激しく利益を生みにくい)レッドオーシャンだ」と指摘した。一方で、小売りやゲームソフトだけでなく、医療や教育など応用範囲が広く、今後、アプリの開発が活発になると見通した。 
〔写真説明〕チャットGPTのアイコン(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)