石川県は8日、ホテルなどの「2次避難所」に入るまでの一時的な避難先として、いしかわ総合スポーツセンター(金沢市)のメインアリーナに「1.5次避難所」を開設した。県が当初予定していた被災地からの住民移送は大雪の影響で中止されたが、自力で避難してきた被災者が訪れ、午後6時時点で15人が身を寄せた。
 障害者や高齢者、未就学児のいる家庭を優先的に受け入れる。プライバシーを確保できるテント約230張りのほか、横になれるようにマットレスや毛布を用意。約500人の受け入れが可能で、医師らが健康管理を行う。
 知人から情報を聞いて訪れた川坂正樹さん(72)は、足の不自由な妻成子さん(68)と珠洲市から避難してきた。自宅の一部が倒壊し、3日ほど前から高速道路のサービスエリアで車中泊をしていたという。「車中泊で腰が痛かったので、横になれると思うと安心した」とほっとした表情を浮かべた。
 輪島市の女子高校生(17)は、乳児を含む家族8人と金沢市内の親戚の家に身を寄せていた。「崖崩れで自宅に帰れる状況じゃない。ここはとりあえず水が出るから安心できた」と話した。
 馳浩知事は視察後、報道陣の取材に「被災地の避難所が飽和状態となっている。まず1.5次避難所で休んでもらい、2次避難所へのマッチングを始める」と述べた。 
〔写真説明〕いしかわ総合スポーツセンターに開設された「1.5次避難所」に設置された避難者用のテント=8日、金沢市

(ニュース提供元:時事通信社)