大きな被害の出ている能登半島地震を巡り、政府は「災害関連死」の防止対策に注力する方針だ。各避難所の衛生状態悪化を踏まえ、高齢者らを中心にホテルや旅館など「みなし避難所」への2次避難を急ぐ。併せて生活再建や復旧・復興といった中長期的な課題への対応を本格化させる。
 林芳正官房長官は10日の記者会見で「関連死を防ぐために、避難所の良好な生活環境整備が喫緊の課題だ」と指摘し、仮設トイレや暖房器具、マスクなどの「プッシュ型支援」を続けると説明。同時に「石川県が2次避難を進めている。県や関係省庁と連携して取り組む」と表明した。
 震災の発生は元日。避難生活の疲労や健康状態の悪化などで亡くなる関連死は、9日に石川県珠洲市で6人が初めて認定された。2016年の熊本地震では犠牲者の約8割に上っており、政府筋は「これからはいかに関連死を防ぐかが課題だ」と語った。
 政府はみなし避難所に関し、国と県が負担する上限額を1人1泊7000円から1万円に引き上げた。移動費の支援も検討している。
 10日は非常災害対策本部の会議を開催しなかった。発災翌日の2日から8日連続で初動対応などを議論。11日は予定されているが、その後は定例閣議が行われる火曜日と金曜日を中心に開く。岸田文雄首相は10日、防災服ではなくスーツ姿で首相官邸に入った。
 首相は早ければ13日に初めて被災地へ入る。被害が大きい石川県の輪島、珠洲両市で避難所などを視察する予定だ。
 一方、衆院災害対策特別委員会は理事懇談会を開き、政府から被害状況や被災地への支援などについて報告を受けた。この後、立憲民主党の小山展弘野党筆頭理事は記者団に、住宅が全半壊した世帯への支給が最大300万円では少な過ぎるとして、根拠となる被災者生活再建支援法の改正を検討する意向を示した。 
〔写真説明〕首相官邸に入る岸田文雄首相=10日、東京・永田町

(ニュース提供元:時事通信社)