政府は11日の持ち回り閣議で、能登半島地震を激甚災害と特定非常災害に指定した。岸田文雄首相は首相官邸で開いた非常災害対策本部の会合で「暮らしの再建に向けて被災自治体を支援していく」と強調。同日夜には臨時で記者会見し、災害関連死を防ぐため、高齢者や持病がある人らに旅館やホテルなど「みなし避難所」への2次避難を呼び掛けた。
 激甚災害は地域を限定しない「本激」とし、道路や港湾、学校、児童・老人福祉施設、農地といった広範な復旧事業を対象に国の補助率を引き上げる。中小企業への信用保証を強化し、漁業も支援する。特定非常災害は、運転免許証の有効期限延長や債務超過による破産手続きの延期など、行政上の特例が被災者に適用される。
 政府関係者によると、2次避難は週内に1万人分を確保できる見通し。移動に必要なバスも十分な数を用意しているという。ただ、10日午後2時の時点で、石川県内の宿泊施設に移ったのは182人にとどまっている。
 首相は会見で「インフラ復旧や住まいの確保にかなり時間がかかる。安全な環境への移動が重要だ」と指摘。2次避難は過密解消や感染症対策の観点からも有効だとして積極的な利用を促した。また、住み慣れた場所から離れたがらない被災者が多いことにも触れ、「今後の住まいの見通しを丁寧に説明し、不安や懸念の解消に努める」と述べた。 
〔写真説明〕首相官邸に入る岸田文雄首相=11日午前、東京・永田町
〔写真説明〕能登半島地震非常災害対策本部会合で発言する岸田文雄首相(右から3人目)=11日午前、首相官邸

(ニュース提供元:時事通信社)