【ワシントン、ロンドン時事】日銀は19日、17年ぶりの利上げによるマイナス金利政策の解除を決めた。海外に目を向けると、米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)は、大幅利上げを終え、利下げ開始時期を探る段階にある。日銀と米欧主要中銀の政策局面は異なっており、外国為替市場などに予期せぬ変動をもたらすリスクも抱える。
 日銀がデフレ脱却にてこずる中、FRBとECBはコロナ禍でのサプライチェーン(供給網)混乱による歴史的な高インフレに対処するため、急ピッチの利上げを断行。FRBは政策金利を年5.25~5.50%、ECBも政策金利の一つである中銀預入金利を同4.00%の高水準で据え置き、物価上昇圧力の緩和に努めている。
 金融引き締めや供給網の回復により、米国とユーロ圏のインフレ率はピークから大きく低下した。パウエルFRB議長は7日の米議会証言で、利下げの前提とする「インフレ鈍化への確信」が得られるまで「そう遠くない」と発言。ラガルドECB総裁も同日の記者会見で、引き締め的な金融政策からの転換に向け「議論を始めた」と明かした。経済指標を見極めながら、利下げのタイミングを探っている状況だ。
 FRBとECBは、国債などの資産買い取りを通じた量的金融緩和策で、コロナ禍で悪化した経済を支えてきたが、これにより膨張した保有資産の縮小にも乗り出している。
 日銀が先駆けて導入した量的緩和策は、2008年の「リーマン・ショック」以降、米欧でも採用された。FRBとECBは資産の正常化も着実に進めることで、次のショックに備え始めている。 

(ニュース提供元:時事通信社)