2024/06/30
防災・危機管理ニュース
【ベルリン時事】欧州連合(EU)の議長国が7月1日、ベルギーからハンガリーに引き継がれる。任期は半年。加盟国の閣僚で構成する理事会の議事を円滑に進める輪番制の役割だが、強権的なオルバン政権が「自国の意に沿うよう、権限を不当に利用するのでは」(欧州メディア)との懸念がEU内に広がっている。ハンガリーが反対するウクライナ加盟交渉や気候変動対策などの停滞が予想されている。
議長国就任に際し掲げた標語は「欧州を再び偉大に」。自国最優先を打ち出すトランプ前米大統領の常とう句「米国を再び偉大に」をそのまま転用した。オルバン首相は、ウクライナに侵攻を続けるロシアに融和的で、EUの意思決定をことごとく乱してきた。
ハンガリーは、議長国の重点課題としてバルカン諸国との加盟交渉加速を挙げつつ、ウクライナとの交渉を進める考えは「全くない」(ボーカEU相)と公言。これを見越した他の加盟国は、異例の速さでウクライナ交渉入りを進め、6月25日に交渉開始にこぎ着けた。またEUが対中強硬に傾く中、シーヤールトー外相は「中国と協力を深めた方が欧州は繁栄する」と主張。議長国として関係改善に努めると表明した。
オルバン氏は、6月の欧州議会選で伸長した極右勢力と反移民や環境規制の緩和などで連携し、EU主流派に対抗したい考え。もっとも、ハンガリー与党は議席を減らし、求心力低下もささやかれている。EUの「顔」ともいえる議長国の成果を政権浮揚につなげたい思惑もあり、過度な摩擦を避けるとの見方もある。
議長国の任務をハンガリーに引き継ぐベルギーのデクロー首相は28日、記者からオルバン氏への助言を問われて、こう答えた。「議長国はEUの長ではなく、むしろ妥協が必要だ。人生で一度は経験すべき興味深い立場だ。ぜひお勧めしたい」。
(ニュース提供元:時事通信社)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方