経団連は16日、首都直下地震や南海トラフ地震といった巨大災害に備えた防災・減災対策への提言をまとめ、坂井学防災担当相に提出した。2026年度にも見込まれる防災庁の設置を見据え、政府や自治体が企業と緊密に連携して取り組む意義を強調した。

 提言は、「巨大地震は起きるか否かではなく、いつ起きるか(の問題)だ」と指摘。関連政策は補正予算ではなく、中長期的視野に基づく当初予算での措置がふさわしいと訴えた。

 政府に対し、災害時のインフラ復旧などに関する事業継続計画(BCP)を可能な限りオープンにするよう要請。それに基づき、企業が事業停止や社員の安全確保を考慮し、適切に判断できるBCPを整備することが大切だと主張した。

 帰宅困難者が発生した場合の受け入れを巡っては、特定企業に偏らないよう、幅広い業種や団体で実行に向けた連携が必要になると説明。一時滞在施設の収容や被害、交通事業などに関する情報を一元的に管理する「スマートな防災」も重要だとした。

 経団連の永野毅副会長(東京海上ホールディングス会長)は提言の手交後、「防災計画は10年といったレンジで考えておくのが当然だ」と述べた。その上で、危険度が高い場所からの住民の集団移転をどう実行するかなど「もっと国全体で議論が起きなければならない」と警鐘を鳴らした。(了)

(ニュース提供:時事通信 2025/06/16-17:49)

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