16日(日本時間17日)の日米首脳会談で関税交渉が合意に至らず、日本企業がトランプ米大統領による高関税政策の先行きに不安を募らせている。関税発動前後の3~4月には、米市場で一部日本車の駆け込み需要が発生したが、今後はマイナスの影響が本格化する見通しだ。ただ、情勢が不透明な中では、明確な対処方針を打ち出しにくく、各社は交渉の行方を注視している。
 経済界では、関税交渉について「簡単ではない」(日本電機工業会の漆間啓会長)との認識が既に広がっていたため、今回の合意見送りに落胆する声は少ない。ただ、関税発動前に米国に輸出した自動車などの製品在庫は底を突きつつあるとみられ、関税分を販売価格に転嫁するなどの対応を取らなければ利益が圧迫される状況だ。
 トランプ大統領は自動車関税を今後さらに引き上げる可能性にも言及している。幅広い製品に課される相互関税上乗せ分の猶予期限も7月9日に迫り、合意の遅れで日本企業の負担はさらに増しかねない。
 自動車大手の関係者は、米国に輸出する乗用車の値上げについて「検討中だが、交渉次第では関税率が上がる可能性も下がる可能性もあり、しばらく様子を見るしかない」と明かす。別の大手幹部は交渉が進まない状況を踏まえ「当初目指していた関税撤廃は難しいかもしれない。一定の税率が続くことも覚悟しなければならない」と指摘している。
 新浪剛史経済同友会代表幹事は今月17日の記者会見で、首脳会談での合意見送りについて「残念だ。時間とともに環境が厳しくなっている」と述べ、早期合意が難しくなりつつあるとの認識を示した。 
〔写真説明〕4月11日、横浜・大黒ふ頭で待機する新車(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)