2025/07/23
防災・危機管理ニュース
関西電力が、次世代原発の新増設に向けて本格的に動きだした。電力大手の先陣を切り、政府の原発回帰姿勢に呼応。東京電力福島第1原発事故後、長らく見合わせていた福井県美浜町での現地調査再開を表明した。差し迫る建て替えの必要性に加え、増加するデータセンター(DC)や半導体工場などの電力需要が関電の決断を後押しした格好だ。
関電は2010年、美浜原発がある同町で地質などの調査を始めたが、翌年の東日本大震災と原発事故を受け計画を中断した。この間、美浜原発1、2号機は廃炉が決まり、現在稼働中の3号機も運転開始から50年近くが経過。老朽化への懸念は年々高まってきた。
さらに近年は、人工知能(AI)の普及を背景に、電力を大量消費するDCなどの建設が全国各地で相次ぐ。関西ではソフトバンクやKDDIがシャープの堺工場(堺市)跡地でDC建設を計画中。関電の森望社長は22日の記者会見で「DCや半導体工場の急激な成長で電力需要は大幅に伸びる」と述べ、原発を新増設する意義を訴えた。
ただ、美浜町での原発新増設に向けた調査日程は未定で、建設や稼働開始のめどは立っていない。建設が現実味を帯びれば、巨額の資金調達だけでなく、地元自治体や住民の理解を得ることも大きな課題となる。森氏は会見で「安全性を高める努力をやり続ける」と繰り返し強調した。
〔写真説明〕関西電力の美浜原発の外観=2024年4月16日、福井県美浜町
(ニュース提供元:時事通信社)

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