外務省は29日、経済局に経済安全保障課を新設するなどの組織改編を8月1日付で行うと発表した。米中両国の対立激化を受けた重要鉱物のサプライチェーン(供給網)強化など経済安保分野の対応力向上が狙い。
 同分野はこれまで、総合外交政策局の安保政策課に設けられた経済安保政策室が担当。これを経済局へ移管し、課に格上げする。経済局に関しては、経済外交の総合調整を担う総務課と、人工知能(AI)やデジタルなど新規課題を扱う経済外交戦略課も新設する。
 欧州局の西欧課と中・東欧課は、欧州第1課と第2課に再編。第2課にはウクライナやポーランド、バルト3国など計8カ国を所管する中東欧バルト室を設け、ロシアによるウクライナ侵攻への対応に集中的に取り組む。
 在外邦人保護の体制を強化するため、領事局の海外邦人安全課を改組。テロや自然災害など緊急時対応は海外邦人緊急事態課、平時対応は海外邦人安全支援室が担う。
 外務省は「国際情勢が変化する中、中長期的な外交課題に戦略的・機動的に対応するための体制を構築した」と説明。複数の局にまたがる大規模な組織改編は2006年以来19年ぶり。 
〔写真説明〕外務省=東京都千代田区

(ニュース提供元:時事通信社)