電力需給対策

東日本大震災で原子力発電所や火力発電所が被災した東京電力や東北電力に加え、中部電力までが浜岡原子力発電所を停止することになり、今夏は全国的な電力不足が懸念されている。企業は、節電や、計画停電、大型停電について、全社的なリスクマネジメントを行う必要がある。

政府が決定した電力需給対策によると、東京電力と東北電力管内では、今夏予想される電力不足に対応するため、企業や家庭は最大使用電力を前年に比べ15%削減しなくてはならない。500 キロワット以上の大口需要家については、法律に基づく使用制限令(違反すれば100 万円以下の罰金)を発動する方針だ。

企業は節電による労働環境やIT・システムへの影響、資金面への影響、さらにはサプライチェーンへの影響など全社的にリスクを洗い出した上で、節電対策を考える必要がある。また、仮に計画停電が行われた場合や、大規模停電が起きた際の業務継続計画についても、それぞれ対応を考えておくことが求められる。

【節電による影響例
1 労働環境の影響
 ・室内設置温度が高すぎたり、照明が暗すぎることによる労働環境への影響
 ・薄着にした場合の労働安全(防護服の未着用)
 ・休日への勤務時間のシフトによる家庭環境やメンタル面への影響 など
2 IT やシステムへの影響
  ・サーバールームの空調温度の削減によるIT 機器への影響や、精密機器への影響 など
3 資金面への影響
 ・ 設定温度を上げることにより客足が鈍くなったり、 逆に、お弁当類が逆に伸びるポジティブリスクへの影響 など
4 サプライチェーンへの影響
 ・休日のズレによる調達やメンテナンスへの影響など

【計画停電による影響例】
1 IT やシステムの影響
 ・ IT 機器やOA 機器、通信機器の使用不可による業務への影響 など
2 昇降機設備などの影響
 ・エレベーターやエスカレーター、自動ドアなどの停止・突然の作動による人的被害など
3 セキュリティシステムの影響
 ・社内セキュリティシステムの不作動による影響など
4 衛生設備の影響
 ・トイレなどの使用不可による従業員の健康やメンタルへの影響 など
5 ライフラインの影響
 ・鉄道やバスの運休による遅延や、出社不可
 ・交通渋滞での危険運転や信号停止に伴う交通事故の危険 など

【大規模停電の影響例】
上記、計画停電の影響に加え、社会全体の混乱、安否確認や情報入手の難航、長期化による影響 など