「不祥事が起きても、誰が説明文を書くのか決まっていないんです」
「広報担当がいません。総務が兼任です・・・」
現場で、こんな切実な声をよく耳にします。日本では上場企業であっても専任の広報組織を持たない企業が少なくなく、広報部門を設置していても1名体制というケースも珍しくありません。危機対応時の戦略的コミュニケーションを考えていない企業が圧倒的です。
しかし不祥事に見舞われる企業は後を絶ちません。そこで本稿ではこうした状況に対し、危機が起きたとき生成AIを活用することで、限られた人員でも効果的、効率的にコミュニケーション力を高められる実践的なヒントを紹介していきます。
繰り返し問われた広報対応
5月下旬から6月末にかけて、いわゆる「社会的に注目された」事例が立て続けに報道されました。どれも広報や情報開示のあり方が、企業の評価に大きく影響したケースです。
吉本興業 早急な発表と再発防止策の提示が信頼回復の足がかりに
5月22日、お笑いタレント6名が違法オンラインカジノ賭博で略式起訴。吉本興業は即日、公式サイトで謝罪文を公開し、厳重注意や誓約書提出、活動の自粛、社内研修の実施などの再発防止策を丁寧に説明しました。危機対応としては迅速で、一定の信頼回復に寄与する構成でした。
フジテレビ 社会の求めに十分応じられず評価が二分
6月19日、元タレントの中居正広氏による性加害が第三者委員会で認定され、社長が謝罪。対応内容の透明性や、被害者支援に言及した姿勢は評価されたものの、「なぜここまで対応が遅れたのか」という疑問も拭い切れず、世論は二分しました。
日本テレビ 不透明な会見はマイナスに
6月20日、国分太一氏のコンプライアンス違反疑惑を受けて社長が会見を開いたものの、違反内容について「プライバシー保護のため答えられない」と繰り返し、記者会見が混乱。結果として「火に油を注ぐ」対応になったとの声もありました。
中川翔子さん 誤解を招いた情報発信と事務所対応
6月中旬、中川翔子さんがYouTubeに投稿したSwitch2の開封動画をきっかけに、“転売品ではないか”という疑念がSNSで広がりました。本人は「転売ヤーからは買っていない」とX上で否定しましたが、批判は長引きました。後日、所属事務所は週刊誌の取材に、友人からの譲渡品だったことや、「買えたよ」といった表現が誤解を招いた可能性を説明し、謝罪しました。マクドナルドのちいかわグッズの転売騒動も重なった時期で、世間の目が厳しくなっていたことも影響したと考えられます。
くら寿司 毅然とした法的対応が広げた支持
SNSに投稿された迷惑行為(寿司皿への使用済み避妊具投入)に対し、警察への通報と加害者の特定、被害届提出、再発防止策をすばやく実施。ネットでも「毅然とした対応」として評価されました。
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