普段何気なく目にしているピクトグラム。意外と間違った意味で覚えているかもしれません。前半は、間違えがちなピクトグラム。後半は、時代や必要に応じてピクトグラムが追加された事例を紹介していきます。

ピクトグラムのデメリットは、イメージでしか意思疎通が図れないことです。中には見ても分かりにくいピクトグラムもありますし、もしかして見て全く違うことを連想させているピクトグラムがあるかもしれません。

JIS Z8210 案内用図記号の中から、いくつかピックアップしてみましょう。
https://www.mlit.go.jp/common/001315215.pdf

1. 視覚記号(サイン)を見ても分からない。または本来の意味とは異なる認識をしている
・広域避難場所
安全色で黄色が「注意」と知らない人は、落とし穴注意、マンホール注意と間違えることもある。

2. 視覚記号は見て分かるが、何を伝えたいのか分からない
・ミーティングポイント(待ち合わせ場所)
握手、あいさつと間違えることもある。

3. 視覚記号は見て分かるが、どこまで範囲なのか分からない
・障害のある人が使える設備=身障者用設備
車いす専用トイレと間違えることもある。

・電子機器使用禁止
パソコン禁止と間違えることもある。

4. 視覚記号は見て分かるが、向きの誤認
・左側にお立ちください、右側にお立ちください
右側にお立ちください、左側にお立ちください、と逆方向から認識することもある。

5. 視覚記号は見て分かるが、文化の違い
・レストラン
箸で食べる国、手で食べる国がある。文化や習慣が違えば考え方も違う。

例えば、津波注意や広域避難場所のような具体性に欠いた視覚記号はどうしても分かりにくいです。視覚記号には、情報を凝縮し的確に意味を伝えなくてはなりません。

ピクトグラムは文字を使わなくても、見て直感的に情報を伝えられる視覚記号なので、伝えたい意味以外を連想させるような不必要な表現は避けるべきです。反対に表現が足りなければ、文字や音声などで欠点を補わなければなりません。

間違えやすかったものを改正

次は、JIS規格のピクトグラムが間違えやすいので法律で改正された事例です。2017年7月20日、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、日本人だけでなく外国人観光客にもより分かりやすい案内用図記号とするため、JIS Z8210 案内用図記号を改正しました。

経済産業省 産業技術環境局 国際標準課 案内用図記号のJIS改正
https://www.meti.go.jp/press/2017/07/20170720002/20170720002-2.pdf

外国人の中には、温泉記号の湯気を料理の湯気と思ってしまい、温泉記号を温かい料理などと間違える人がいます。他にも間違えやすいJIS規格7種類(温泉含む)の記号がISO規格に合わせて変更されています。