2026/03/04
防災・危機管理ニュース
東日本大震災以降、人口減少が加速する被災地で、ほかの地域で暮らす人と継続的につながる「関係人口」を増やす取り組みが広がっている。「人を呼び込み、にぎわいにつなげたい」。地元と関わる人に地域の魅力を発信すれば、移住につながる可能性もあると期待を寄せる。
大震災で甚大な被害を受けた宮城県女川町は5~30日間、町で暮らし魅力を知ってもらう「お試し移住プログラム」に力を入れる。移住の意思は問わない上、滞在のハードルを下げるためシェアハウスやコワーキングスペースも用意。参加条件はブログ執筆のみ、という手軽さが売りだ。
2015年度の制度開始以来、10年間で1000人超が参加。このうち、約30人が町に移住した。町から事業を請け負うNPO法人アスヘノキボウの後藤大輝代表理事(32)は、ブログを見て参加する人も多く「魅力を伝える機会を提供できている」と手応えを語る。
「いらっしゃいませ」。2月、東北学院大学4年の平野佐和さん(22)の声が居酒屋に元気よく響いた。震災後のまちづくりについて学ぶ平野さんは、地域で生活しながら住民の声を聞きたいとお試し移住に参加。この日は居酒屋の仕事体験に挑戦した。「(町民が)話しかけてくれ、距離が近く楽しい」と笑顔を見せる。店主伊東陽子さん(73)も「町民の人柄や食、自然を(ブログで)知り来てくれる人が増えたらうれしい」と話す。
震災以降、人口が約3割減った岩手県山田町は、復興支援やふるさと納税を通じ町に関心を持った人とのつながりを深めるため、21年度に「やまだファンクラブ」を設立した。入会条件は町外在住で、町を愛し応援すること。希望者に「会員」の肩書を冠した名刺を提供するなどしており、会員は143人(1月26日時点)に上る。
クラブは今年度、SNSで町をPRした人にカキなどの特産品が当たる抽選会を開催。来年度は東京都内で交流会を開き、地元の魅力を発信する予定で、担当者は「町に来てもらうきっかけをつくりたい」と話す。
復興まちづくりに詳しい東北大の島田明夫名誉教授は、人口減少対策にはハードルの高い移住者よりも、関係人口を増やす必要があると指摘。「一過性で終わらないイベントや二拠点居住(の環境整備)など、交流の呼び水となる仕組みをどう作るかが大切だ」と話している。
〔写真説明〕インタビューに答える後藤大輝さん=2月7日、宮城県女川町
〔写真説明〕町民らと談笑する平野佐和さん(右端)=2月7日、宮城県女川町
〔写真説明〕接客をする平野佐和さん(右)=2月7日、宮城県女川町
〔写真説明〕店主の伊東陽子さん(中央)から話を聞く平野佐和さん(左)ら=2月7日、宮城県女川町
(ニュース提供元:時事通信社)




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